「福沢諭吉、新渡戸稲造、もう1人は…」。明治以降で真に尊敬に値する人物を3人挙げよと言われたら、と小説家で社会教育家の下村湖人は、同じ佐賀県出身の田澤義(よし)鋪(はる)を挙げた
今年は田澤の生誕125年。出身地・鹿島市の市民会館で今月24日に記念大会が開かれる、と本紙佐賀版が案内していた。「信念を貫いた生涯、毅(き)然(ぜん)たる清節。私は百代にわたって『この人を見よ』と言いたい」。湖人はそう書き残している
最初は内務官僚だった田澤は、やがて社会教育家として青年教育に情熱を傾けた。政治家として選挙粛正に一身をささげた。併せて政治の理想を追求した。日本の現状を憂う講演中に倒れて逝った
と書いていくと、思いは、国の新生を信じて逝った大勢の先人に及ぶ。19世紀を疾走した幕末の志士は泉下から20世紀の日本をどう見ただろう。20世紀の戦争で散った人に私たちは21世紀初頭の日本を自信を持って見せることができるだろうか
言論の府・国会がけなし合う場に半ば変わって久しい。目先の党利党略をぶつけ合うのに忙しい、ように見える人たちもいる。半世紀後、1世紀後の日本を描ける政治家は、いるにしても少ない
夢や理想を自分の言葉で、政策に包んで語れる人を選びたい。人と政策を大きく育ててくれそうな政党に1票を託そう。郷土の先人に思いを巡らせつつ子や孫の時代を考える。きょうは良識の府・参院選の投票日。
春秋 西日本新聞 2010年7月11日
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