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「楽園に」絶海の孤島が白い舞で染まる日が早く来るといい・・・春秋 八葉蓮華

 鳥島は伊豆諸島の南端にある。明治時代に訪れた探検家は「まるで雪景色のよう」と驚いた。島を白く埋めるかのごとく生息した鳥がいた

 アホウドリだ。江戸末期に鳥島に漂着した中浜(ジョン)万次郎は、いっせいに飛び立つ光景を見て「島そのものが空中に舞い上がるようだった」と、「ジョン万次郎漂流記」に書き残している

 アホウドリは日本の尖閣諸島と鳥島でだけ繁殖する。鳥島に昔の風景はない。現在の生息数は約2600羽。3年前は2千羽を切っていた。8年前は約千羽。羽毛採取の乱獲で第2次大戦直後は絶滅が伝えられた

 間もなく十数羽による営巣が確認され、特別天然記念物に指定されて半世紀余。かつての風景に少しでも戻す取り組みの途上にある。心配なことがひとつあった。鳥島は活火山だから、大噴火が起きれば繁殖地が危ない

 環境省は2年前に新計画に着手した。鳥島の南350キロの小笠原諸島・聟島(むこじま)を「楽園に」という計画だ。鳥島から毎年ひなを移し、山階鳥類研究所が人工飼育してきた。すでに40羽が巣立った。巣立つと遠く北の海を巡り、数年で古里に戻るといわれる

 近く最初のグループが聟島に帰郷する可能性があると先日報じられた。羽が長くてすぐには飛び立てず簡単に捕まる、というので気の毒な名が付いたこの鳥は、飛び立ったあとの舞の美しさで知られる。絶海の孤島が白い舞で染まる日が早く来るといい。

春秋 西日本新聞 2010年10月19日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
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