「天災は忘れたころにやって来る」。物理学者で随筆家でもあった寺田寅彦が書き残した、とされた。そのままの言葉は著書にはない
文明が進んでも災害への防御が一向に伴わない理由を寺田はこう書いた。「天災が極めて稀(まれ)にしか起こらないで、ちょうど人間が前車の転覆を忘れた頃(ころ)にそろそろ後車を引出すようになるからであろう」。要約してくだんの警句となったらしい
随筆「天災と国防」に出てくる。関東大震災も例に引きつつ昭和9年11月に書かれた。9月に室戸台風に襲われた直後だった。室戸台風では関西を中心にシ者・行方不明者が3千人を超えた
小学生に多くの犠牲者が出たことでも記憶される。校舎の倒壊がひどかった。寺田は筆を怒らせてこうも書いた。「小学校の倒(とう)潰(かい)のおびただしいのは実に不可思議である。ある友人は国辱中の大国辱だと云(い)って憤慨している」
中国での一昨年と今春の地震による校舎倒壊は記憶に新しい。日本は大丈夫か。文部科学省は先週、公立小中学校の耐震化状況の調査結果を発表した。震度6強で倒れる危険性が高い校舎などは約7500棟を数える
地震について寺田は「時の試練」を経ない新様式の学校などの被害を強調していた。試練は経たはずなのに危うい建物が今もそんなにあるとは…。地震の備えでは世界の先頭を行くと思われている国で、もし悲惨な被害を見るようなら、それこそ国辱ものだ。
春秋 西日本新聞 2010年7月31日
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