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日本一小さなキャンバスの絵「コラボ展」日本一短い手紙・・・春秋 八葉蓮華

 さまざまな「日本一」を公募で競う話を時々耳にする。地域おこしを兼ねて自治体が主催するものが多い。「日本一の友情・エッセーコンテスト」「日本一の夕陽フォトコンテスト」…

 「日本一小さなキャンバスの絵」というのもある。14年前に愛媛県城川町(いまは西予市)が始めた「かまぼこ板の絵展」だ。かまぼこ板に描いた絵を募る。今年は「こころ」のテーマに全国から1万点以上が寄せられた

 一番有名なのは「日本一短い手紙・物語」だろう。16年前に福井県丸岡町(いまは坂井市)が「一筆啓上賞」として始めた。2008年度のテーマ「夢」には6万通以上が集まり、累計では100万通を超えた

 「日本一小さなキャンバスの絵」と「日本一短い手紙」を組み合わせると、どうなるか。西予市と坂井市は一昨年から「コラボ展」もスタートさせている。入賞作品を一緒に並べて味わい直すと、響き合うものが少なくないという

 コラボ展のポスターになったのは-。手紙は〈電話だとちょっとテレ、だから手紙でそっとユウ。「母ちゃんゴメン」〉。かまぼこ板には、懐かしの丸型郵便ポストに投(とう)函(かん)しようと背伸びしている猫が描かれている

 涙もまじる会場に用意されたノートには「手紙と絵の出合いに感謝」などの言葉がつづられる。コラボ作品を陶板のプレートにして、自さつする人が絶えない坂井市内の東尋坊に設置する計画を市は進めている。

 春秋 西日本新聞 2009年6月29日
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時代を照らした光「マイケル・ジャクソン」復活公演を見たかった・・・春秋 八葉蓮華

 技術は進化をやめない。最新とされた技術もいつの間にか過去のものになる。1980年代に出現したレーザーディスクもその一つ。収集したディスクはどこかに消えた

 集めたなかに「スリラー」もあった。時代の最先端を行くマイケル・ジャクソンさんの歌とダンスは、「絵(映像)が出るレコード」とも呼ばれたレーザーディスクの先端性に適合していた

 あれから四半世紀。ディスク自体は半ば骨董(こっとう)的に語られるが、ジャクソンさんが体現したものは古びない。あこがれる若者が増えたストリートダンサーの源流をたどればこの人に行き着く。超絶技巧のムーンウオークなど挙げ始めたらきりがない

 世界をあっと言わせる一方で世界をがっかりもさせた。不世出の才能を持つ男は巨万の富に埋もれて醜聞を増やしていった。奇行が目立つなかで報道された少年へのせい的ぎゃく待疑惑など、事実であれば悲しくもおぞましいことの数々

 その前には、貧しい国々の子どもたちのために基金を設けた、といったようなニュースを何度か聞いた。「光と影」という言い方が彼ほど似合った人はいない。時代を照らした光が強烈だった分、自身に落とした孤影はいびつに濃かった

 50歳での、突然の訃(ふ)報(ほう)である。長い空白を経て来月から復活公演を始める予定だった。心の回路の不具合は修復されていたのか。「再生したマイケル・ジャクソン」の、進化した舞台を見たかった。

 春秋 西日本新聞 2009年6月28日
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「歴史ブーム」真の主役の国民が審判を下す日が近い・・・春秋 八葉蓮華

 きのうの続き。永田町で歴史上の人物に絡めて物を言いたがる政治家が多い背景に、ちまたの歴史ブームを指摘する人もいる。主役は若者、とくに女性で、「歴(れき)女(じょ)」なる新語も生んだ

 漫画やゲームから入る人が増えた。一番多いのは男性も女性も大河ドラマだ。それとは別に時代劇を挙げる女性も多い。時代劇を挙げる人は「女性は男性のほぼ2倍」というアンケート結果もある(アイシェア調べ)

 テレビの「水戸黄門」なんかも見るのだろうかと、おじさん世代は思う。おなじみのシーンを街頭でまねて演説する古参政治家もいるから、史実ではなくても知っておいて損はない、とも思う

 お供の助さん格さんが印(いん)籠(ろう)をかざして言う。「この紋どころが目に入らぬか」。史実を離れた決めぜりふはほかの歴史上の人物にもある。彫りものをした町奉行遠山金四郎の、お白州での「この桜吹雪、散らせるものなら散らしてみろ」も有名

 存在そのものが創作ながら、上州・三日月村に生まれたという木枯し紋次郎もヒーロー伝の番外には欠かせない。ニヒルなせりふ「あっしにはかかわりのねえことでござんす」が流行語になった。使い方はけっこう難しかった

 永田町は衆院解散に向けて一段とにぎやか。にわか主役も散見される。真の主役の国民が審判を下す日が近い。総選挙という一種のお白州で「あっしには…」と紋次郎を気取るのはご法度ですから、念のため。

 春秋 西日本新聞 2009年6月27日
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首相だけが持つ衆院解散の「伝家の宝刀」さび付いたのか抜くのが大変らしい・・・春秋 八葉蓮華

 歴史上の人物などに思いを重ねた言動が自民党内外で目立つ。隣国の古代から日本の明治維新前後に至るまで幅広いから勉強になる、かどうかは知らないが

 一種のブームは、日本郵政会社の社長続投をめぐる鳩山邦夫前総務相の反乱から始まった。更迭された鳩山氏は、西南の役を起こすに至る西郷隆盛に自身をダブらせた、と先日の小欄で書いた

 更迭した心境を、三国志の故事「泣いて馬謖(ばしょく)を斬(き)る」で解説された麻生太郎首相は、直後に江戸時代末期に連れていかれた。内閣支持率のさらなる低下を受けた自民党代議士会で某議員が「大政奉還を決断せよ」と迫った

 先週は鎌倉時代の弁慶も登場した。自民党幹部いわく「弁慶のように全身で矢を受けてでも抵抗する」。社会保障費を「骨太の方針」が抑制してきたことに断固反対する声だった。弁慶は何人もいたようで、政府は抑制方針撤回に追い込まれた

 明治初期→幕末→鎌倉時代と続いた「自民党一座」の時代劇は無論まだ終わらない。2009年政局のハイライトになるべき合戦が控えている。党選対委員長から総選挙への出馬を要請された宮崎県の東国原英夫知事は…

 それまでの県議会で「今回の関ケ原、黙って見過ごすわけにはいかない」と答弁していたという。合戦に備えて刀の手入れも怠りないのだろう。首相だけが持つ衆院解散の「伝家の宝刀」のほうは、さび付いたのか抜くのが大変らしい。

 春秋 西日本新聞 2009年6月26日
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町からいなくなった「猫の館長さん」どこに行ったのやら・・・春秋 八葉蓮華

 「たま」という名の「猫の駅長さん」が評判になったのは和歌山県だった。駅長を務める猫は福島県などにもいるらしい。駅長だけではないことを最近知った。きょうは「猫の館長さん」の話

 長野県信濃町の町立一茶記念館の「館長さん」は、2歳の雄の雑種で名を杉山空(そら)と言う。杉山は姓だ。近所に住む杉山さん方の飼い猫だった。昨夏ごろから記念館にふらりと出かけるようになり…

 館内を巡回したり、館長席のあたりで昼寝をしたりしているうちに人気者になり、専用席が設けられて猫館長におさまった。記念館の名にある一茶は、この地を故郷とした江戸時代の俳人小林一茶である

 全国各地を貧乏行脚した一茶は小動物を家族とし、友とした。〈我(われ)と来て遊べや親のない雀(すずめ)〉〈痩蛙(やせがえる)まけるな一茶是(これ)に有り〉。動物では猫を詠んだ句が一番多いとか。〈猫の子がちょいと押(おさ)へるおち葉哉(かな)〉

 詩人高橋順子さんは「一茶にとって猫はライバルでもあった」とみる。〈汚れ猫それでも妻は持ちにけり〉などの句からそう読み取る。「よくやるよ、と呆(あき)れ、かつ羨(うらや)んでいるようなところもある」(小学館文庫「一茶 生きもの句帖」から)

 記念館の猫館長は先々月、町からいなくなった、と毎日新聞が報じてちょっとした騒ぎになっている。どこに行ったのやら。10代半ばで故郷を離れた一茶に倣って旅に出たのか。こんな句もあった。〈恋猫や答へる声は川むかふ〉

 春秋 西日本新聞 2009年6月25日
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美空ひばりさん「歌は心でうたうもの」20年になる・・・春秋 八葉蓮華

 作曲家に恐怖を感じさせた歌手がいた。作曲家の船村徹さんが自著「歌は心でうたうもの」(日本経済新聞社刊)の中で明かしている

 年齢は船村さんが5歳上だったのに、その歌手に「立ち向かうことはある種の恐怖を伴った」と振り返っている。「少しでも手を抜けば歌唱で完膚なきまでにやりこめられるに違いない」という恐怖感

 美空ひばりさんは読譜力はそれほど達者ではなかったそうだ。音符の上下動を目で追い、メロディーがもたらす感性の起伏と、込められた意図を瞬時に読み取る。曲を作曲家の手から奪って自分のものにしてしまう。船村さんはそう述懐する

 「波止場だよ、お父つぁん」をはじめ、ひばりさんの曲は50曲近く作った。「哀愁波止場」は演奏旅行先の福岡で完成させた。できた楽譜は東京行き寝台特急の車掌さんに託してレコード会社に届けてもらった

 いくつかの時代があって、ひばりさんは福岡市内の病院に入院した。再起曲「みだれ髪」(星野哲郎作詞)のレコーディングの日、船村さんは「がくぜんとした」と言う。〈投げて届かぬ想いの糸が〉の「届かぬ」のメロディーラインに悩んで、二つ浮かんだうちの一つにしていたが…

 ひばりさんは微妙に違うもう一つのほうで歌った。そのほうがいいな、と思った。そっと譜面を書き直した。船村さんは「畏怖(いふ)」という言葉も使っている。ひばりさんが逝ってきょうで20年になる。

 春秋 西日本新聞 2009年6月24日
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大統領より偉い最高指導者ハメネイ師「緑革命」反体制の民主化運動・・・春秋 八葉蓮華

 暗く沈んだ色に包まれがちな季節のあとにやって来る春は、人々が政治的に置かれた風景のうつろいにも例えられる。反体制の民主化運動などの呼称にも、それは表れる

 1968年に当時のチェコスロバキアで知識人らが中心になって起こした自由化・民主化運動「プラハの春」などを思い出す。同じ年にフランスで起きた学生中心の反体制運動は「五月革命」と呼ばれた

 21世紀になって旧ソ連諸国で見られた民衆主導の政権交代劇は、それぞれのシンボルカラーをとって次のように名づけられた。グルジアの「バラ革命」、ウクライナの「オレンジ革命」、キルギスの「チューリップ革命」

 鮮明度は微妙に違う。「オレンジ革命」のように背景に他国の影がちらつくものもあった。「プラハの春」のように果実を生むまでに長い歳月を必要としたものもある。イランの場合は、どうか

  先の大統領選で首都を緑色の旗や衣装で埋めた改革派民衆が、選挙結果に異を唱えて治安部隊と衝突し、多数の死者が出ている。直前予想は「大接戦」だったが保守強硬派の現職が大勝し、「不正があった」と訴えている

 大統領より偉い最高指導者ハメネイ師は「不正はなかった」と言う。改革派は師を公然と批判し始めた。30年前のイラン・イスラム革命後初めて見る光景という。近年のイランは季節でいえば春ではなかったようだ。「緑革命」と呼ばれる時が来るのだろうか。

 春秋 西日本新聞 2009年6月23日
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極東地図が逆さま「フォーラム福岡」アジアとの一体的な発展を目指して・・・春秋 八葉蓮華

 欧州で買う世界地図は経度0度を中心に作られている。経度ゼロはロンドン郊外のグリニッジを通っている。世界地図の中央には欧州がくる

 日本にやって来た欧州人のなかには、日本製の世界地図では自分たちの国々が西端に追いやられているのを見てショックを受ける。彼らが極東と呼ぶ地域が中央にあることがショックを2倍にする

 欧州人も極東人もびっくりの世界地図が南半球のオーストラリアで売られているという。南北が逆さまの地図だ。北半球にある宗主国英国から見て「下」にある、と言わせないための一種のジョーク表現とも聞く

 雑誌「フォーラム福岡」最新号は、表紙に極東地図が逆さまに描かれている。この雑誌は産学官の同名の研究会が発行中(編集・製作はプロジェクト福岡)。毎号、福岡空港問題などテーマを絞って特集している。最新号は「アジアとの一体的な発展を目指して」

 逆さま地図では、よく言われる福岡の地の利が、見慣れた地図よりも強調されて映る。中国・韓国の諸都市との位置関係は、ロンドンと大陸側諸都市との関係にどこか似ている、ようにも思う。そりゃまた大仰な、と言われるだろうが

 かつて香港の英字週刊誌はアジアの主要40都市のなかで福岡市を1位に選んだ。潜在的魅力が言わせた面もある。産学官による議論の成果を形にしていけば、ロンドンうんぬんが大仰とは思えない時代が来るかもしれない。

 春秋 西日本新聞 2009年6月22日
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劔岳「最後の空白を埋めよ」CGは一切ない原始的迫力・・・春秋 八葉蓮華

 〈北アルプスの南の重鎮を穂高とすれば、北の俊英は剣(つるぎ)岳であろう〉と「日本百名山」(深田久弥著)にある。〈層々たる岩に鎧(よろ)われて、その豪(ごう)宕(とう)、峻(しゅん)烈(れつ)、高(こう)邁(まい)の風格は…〉と続く

 別名「針の山」。険しさを極めた剣岳は伝説を多く生んだ。「弘法大師が草鞋(わらじ)千足を費やしても登り得なかった」というのもある。大昔のことはともあれ、登り切った者はいないと思われた時代が長くあった

 登頂者名が初めて記録されたのは1907(明治40)年のことだった。陸軍・陸地測量部の柴崎芳太郎測量手が率いる一行だった。彼らが受けた命令はこうだった。「初登頂して測量を果たし、最後の空白を埋めよ」

 日露戦争を経て陸軍は国防のため日本地図の完成を急いでいた。剣岳の山頂一帯は未踏峰ゆえに唯一空白になっていた。軍とは別に最新装備で登頂を目指す、創設間もない日本山岳会との先陣争いになっていた

 映画「劔岳 点の記」(原作は新田次郎著の同名小説)が公開されている。絶望の連続だった物語を、当時もかくのごとしと想像させる映像で再現した。「八甲田山」などで撮影を手がけた木村大作さんが初めて監督を務めた

 スタッフも出演者も1世紀前の測量隊を追体験する。コンピューターグラフィックス(CG)は一切ない。映画の原始的迫力がよみがえる。深田さんの言葉を借りるなら「豪宕、峻烈、高邁を鎧った」者たちの映画といっていい。

 春秋 西日本新聞 2009年6月21日
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鉄道発祥の地・英国で日本製列車が快走する・・・春秋 八葉蓮華

 日本製高速列車が英国の首都と英仏海峡トンネル手前にある町の間を試験走行した。近く営業を始め、2012年のロンドン五輪での活躍も期待されている

 最高時速225キロは英国内では例がない。在来列車で1時間20分の距離を約30分で走った。鉄道発祥の地・英国で日本製列車が快走するシーンを想像するだけでも楽しい

 世界初の商用鉄道が英国で開業したのは1825年のことだった。この年、日本では江戸幕府が異国船打払令を出している。沿岸に出没する異国の蒸気船などに戦々恐々としていたとき、出没させた国の一つ英国では、蒸気船以上に高等な乗り物が地上を走っていた

 あれからやがて2世紀。技術大国になった日本の最新技術が欧州中核都市の主要交通を担うまでになった。英国には各地の都市間鉄道高速化計画もある。同じ日本のメーカーが優先交渉権を得た、と今年2月に報道された

 日立製作所の電車事業は、以前は欧州では知る人は少なかったという。「家電メーカーが列車も?」と言われたこともあった。市場に食い込むまでに10年かかった。最後は日本に対する信頼が後押ししてくれたのだろう

 高速鉄道にかかわる日本の企業群は層が厚い。台湾で採用された新幹線システムは米国などもうかがっている。新幹線以外の高速列車の英国輸出が舞台を広げた。日本製高速鉄道の輸出が大きなニュースにはならない時代が遠からず来る。

 春秋 西日本新聞 2009年6月20日
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生誕100年「桜桃忌」絶望するな。では、失敬・・・春秋 八葉蓮華

 〈生(うま)れて、すみません〉と書いた太宰治の、きょうは生誕100年にあたる。「人間失格」などの小説は現代の若者を読者に加えて売れ続ける

 太宰は時代を超えて若者に読み継がれる小説家の代表選手だが、同様の詩人の一人に中原中也がいる。本州北端の青森で生まれた太宰が、西端の山口で生まれた中也と青春を交差させた時期があったことを最近知った

 1934(昭和9)年創刊の「青い花」の参加者に二人の名前もある。最初に会ったのは東京の檀一雄宅だった。太宰が中也のアパートを訪ねたこともあったらしい(堀雅昭著「中原中也と維新の影」弦書房)

 既に「汚れつちまつた悲しみに…」などを発表していた2歳年長の中也を、太宰は高く評価していた。酔うと毒舌を吐く中也にからまれ、居酒屋でけんかもした。それでも何度か飲んだそうだ

 と知って太宰の小説を読み直したくなった。中也と出会った年、25歳の大学生太宰は「葉」を書いている。〈しのうと思っていた〉で始まる。正月に麻の着物をもらった話をはさんで、こう続く。〈夏まで生きていようと思った〉

 38歳の夏まで生き、入水して命を絶った。きょう6月19日は「桜桃忌」でもある。後世の若者の憂うつを前もって背負っていたかのような生き方をした。それでいて作品のなかではホッとさせる言葉をさりげなくたくさん残した。「津軽」の最後-。〈絶望するな。では、失敬〉

 春秋 西日本新聞 2009年6月19日
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命と向き合わされて戸惑い、倫理観が問われ、人として試される・・・春秋 八葉蓮華

 世論調査結果が示す窮地からの脱出を図る麻生太郎首相と、勢いづく鳩山由紀夫民主党代表の2度目の党首討論が行われた。あなたはどちらに軍配を上げますか

 同じ質問を国会議員に向けたら、答えは聞かずとも分かる。政権党の議員なら麻生氏、民主党の議員なら鳩山氏と言うに決まっている。回答内容は明かさない、と告げたら別の答え方もあろうが…

 与野党が対立する諸法案についても同じことが言える。政党は議員の思考回路まで一律に支配するわけではないから、個々人には種々の考えがあるとしても、党の意思に従う。党議拘束をかけられる場合もある

 きょうの衆院本会議で採決される臓器移植法改正案は、見慣れた採決風景とは様子が違う。与野党に関係なく有志議員が提出した4案が採決され、最初に過半数の賛成を得た法案が成立する。議員は自分の考えにのみ従う

 脳死の子どもからの臓器移植を可能にする法案が複数ある。1997年施行の現行法のままでは、莫大(ばくだい)な費用を募金などで集めて海外で移植手術を受けるしかない現実がある。ただ、子どもの脳死判定には難しさも伴う

 命と向き合わされて戸惑い、悩む議員もいる。無理もない。倫理観が問われる。人として試される。普段は党の意思に機械的に従うことが多いから、自分を磨き直すきっかけになるかもしれない。政治とは何か、について考えを深める機会になれば、もっといい。

 春秋 西日本新聞 2009年6月18日
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ランソの兵「命と自然を守ろう」が古びることなくよみがえる・・・春秋 八葉蓮華

 歳月が行くほどに、その人が残したものの大きさを知らされる故人がいる。大分県中津市出身の作家松下竜一さんもその一人。亡くなって今日で5年になる

 最初に出版した句集から骨太のノンフィクションに至る分厚い足跡は、生前に河出書房新社(東京)が「松下竜一 その仕事」にまとめていた。全30巻だった。それでも松下さんのすべてではない

 単行本未収録の原稿は海鳥社(福岡市)の「松下竜一 未刊行著作集」で読むことができる。5巻を必要とした。最終巻を先日刊行した。松下さんの終生のテーマ「命と自然を守ろう」が古びることなくよみがえる

 著作は松下さんの一部にすぎない。環境権、反原発、反戦…。「濫訴の弊」とやゆされつつも〈なけなしの勇気を振り絞って「ランソの兵」となった〉と、編集後記に新木安利さん(福岡県・築上町図書館)は書いている

 海を埋め立てての豊前火力発電所建設に反対した裁判は、今では普通に語られる「環境権」訴訟の先がけだった。法律用語が支配する法廷で「裁判も日常語で」と主張して弁護士なしで闘ったのも、思えば先駆的だった

 さかのぼって豆腐屋をしていたころは模範青年として評判だった。やがて「嫌われ者に」と自身は振り返っていた。松下さん夫妻を描いた二人芝居が今年初め、東京などのあと中津でも上演された。中津では観客の入りを心配する声が聞かれるなか立ち見も出た。

 春秋 西日本新聞 2009年6月17日
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和数字「より、読みやすく」日本には数えられない一がある・・・春秋 八葉蓮華

 海外勤務や留学などで九州を離れていた人が帰ってきて、何年かぶりに西日本新聞を手にしたとする。二つのことで「おやっ」と思うだろう

 一つは文字が大きくなった。もう一つは洋数字が増えた。文字サイズは昨年春からふっくらとした感じで大きくなった。数字表記の洋数字化は今月1日付にスタートした。込めた思いは一つ。「より、読みやすく」

 洋数字化の感想はいかがでしょうか。違和感はないよ、という声もお聞きする。和数字のままが少なくないことにもお気づきだろう。きょうの小欄でもここまで「二つ」「一つ」と書いた

 洋数字化はあくまで「原則として」だ。慣用句や古来の暮らしの風景にまつわるものまで変えると妙なことになる。お熱いカップルの「三三九度」を「339度」と書いた日には地球まで溶けてしまう

 歌舞伎研究家の郡司正勝さんは「一という字は数ではないのではないか」といつも思っていた。一度いらしてください、と言うとき、一度はいいが二度は駄目ということではない。「日本には数えられないイチがある」(「和数考」白水社)

 洋数字に変えられない例を挙げるときりがない。裸一貫、二心、三国一…。四字熟語の世界でも、一宿一飯、二人三脚、三寒四温…など和数の世界は千変万化。なくしたくない情景も含まれる。そういう部分が、ずっと愛読していただいている方にもあらためて伝わる新聞でありたい。

 春秋 西日本新聞 2009年6月16日
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「今般政府に尋問の筋これあり」策におぼれ、防戦に回ったのが計算違い・・・春秋 八葉蓮華

 首相や閣僚が主役で登場する政界劇は、時々故事を思い起こさせる。盟友の鳩山邦夫総務相を事実上更迭した麻生太郎首相は、中国の三国志を飾る故事になぞらえられた

 諸葛孔明は腹心の部下馬謖(ばしょく)を信頼を裏切ったかどで涙ながらに極刑に処した。いわく「泣いて馬謖を斬(き)る」。私情においては忍びないが規律保持のためやむなく罰する際に使われる

 ついでながら馬謖は戦術家だった。孔明の命令に背くかたちで戦いに敗れた。攻めている時はめっぽう強かったが、策士が策におぼれ、防戦に回ったのが計算違いだった。史書はそう語り継ぐ

 鳩山氏にも計算違いがあった。麻生首相誕生時に功績大だった自分が斬られるはずはないと思っていた。「正義」のためにと日本郵政の社長続投に異を唱える自分に理はある、とも。攻めすぎて自民党内で味方を減らした

 斬られた鳩山氏は自身を西郷隆盛になぞらえる。西南戦争で兵を挙げる際に言った「今般政府に尋問の筋これあり」と同じ心境だという。離党など“挙兵”の意思は今はないそうだから、西郷にどこまでダブらせるつもりか読むのは難しいが…

 自民党史のなかで二人にはどういう役付けがなされるだろう。諸葛孔明や西郷隆盛になぞらえることが可能かどうかはさておき、個性は共になかなかのものだ。鳩山氏のパワーを自民党の主エンジンに留め置けなかった党内回路の不具合が目立つ一幕ではあった。

 春秋 西日本新聞 2009年6月14日
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世界的大流行「フェーズ6」流行は3年は続く・・・春秋 八葉蓮華

 人類の歴史は感染症との闘いの歴史でもある、と折に触れて書いてきた。感染症の元凶の一つ、ウイルスの脅威は「21世紀においても変わらない」と専門家は口をそろえる

 なかでもインフルエンザウイルスは最強といっていい。死者数が戦争を上回ったこともある。90年前の「スペイン風邪」は、同時進行した第1次世界大戦における戦死者の数倍の死者を世界中で出した

 スペイン風邪は20世紀に発生した新型インフルエンザの一つだ。新型では21世紀最初となったメキシコ発インフルエンザの警戒水準を、世界保健機関(WHO)は最高度の「フェーズ6」に引き上げた。世界的大流行(パンデミック)を意味する

 スペイン風邪の時は、たとえば米国では都市機能もマヒした。警察や消防からゴミ収集まで多くの公共サービスが半ば破(は)綻(たん)した。そんな記録も残っている。今回はどうか。世界的大流行といっても様子は違う

 だからといって油断はできない。スペイン風邪が世界各地で牙をむいたのは第2波以降だった。WHOは「今回も流行は3年は続く」とみている。ウイルスが強い毒性をまとって凶暴化した場合への備えも欠かせない

 いま経験中のあれこれには教訓が含まれる。報道によると、感染者が増加中の福岡都市圏では福岡県と福岡市の行政対応にも一部で問題があったらしい。不備や過ちがあったのであれば、繰り返さない。大事なのはそのことだ。

 春秋 西日本新聞 2009年6月13日
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トンネルの出口を示す誘導灯「1万円の大台」実感がないまま・・・春秋 八葉蓮華

 それまでは「急速に低下」だったのが、今年3月には「停滞」と表現が緩やかになり、4月は「持ち直しの動き」に変わった。九州の生産動向と一緒に九州経産局が毎月発表している基調判断だ

 諸指標をもとに政府が発表する月例経済報告の基調判断はどうか。5月は「悪化のテンポが緩やかになっている」だった。4月の「急速な悪化」から持ち直した。景気は下げ止まりつつある

 街角の景況感も見ておこう。内閣府の5月の景気ウオッチャー調査では「駐車場に県外ナンバーの車が増えた」(商店街)「団体旅行の見積依頼が増えた」(旅行代理店)の声も聞かれた

 景気は最悪期は脱したようだ。といっても明るさを感じさせる声はまだ一部にすぎない。トンネルの出口らしき明かりが見えるような見えないような…。そんなふうに説明する評論家もいる

 きのう東京株式市場の日経平均株価は1万円の大台を一時回復した。昨年10月以来という。株価はこの3カ月で3000円近く上昇している。市場関係者にとってはトンネルの出口を示す誘導灯のように映っていることだろう

 悲しいかな庶民には「最悪期はほぼ脱した」という手応えはない。仮に景気が回復に向かうにしても実感が伴うかどうかは怪しい。一昨年まで続いた「戦後最長の景気拡大」期がそうだった。今から心配するのも何だが、実感がないまま消費税率アップへ、の図だけは勘弁願いたい。

 春秋 西日本新聞 2009年6月12日
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国民生活を犠牲にする「独裁世襲」すべての人にとって自由が大事・・・春秋 八葉蓮華

 北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は三男・正雲(ジョンウン)氏を後継者に指名したらしい。そう思わせる種々の報道が、このところ韓国発を中心に繰り返されている

 26歳なのに、報じられるのは少年時代の写真だけ。謎の人物のようだ。「顔立ちは父親にそっくり」「小学生時代はスイスにいた」「スポーツは万能」…。そんな情報が断片的に伝わるだけ

 国民生活を犠牲にしてまで核実験などに熱中する国の「独裁世襲」に、肯定的な興味がわくはずもないが、おやっと思う報道もあった。総書記の長男・正男(ジョンナム)氏の単独インタビューだ。滞在中のマカオでテレビ朝日が撮った

 核実験やミサイルについて質問されると「父か弟に聞いて」とかわし、「政治には以前から興味がない」と答えていた。「今の生活を続けたい。自由だから」「すべての人にとって自由が大事」とも話していた

 英語で答えていた。余談ながら外国語はいくつか話す。インタビュー映像では受け答えの柔らかさも意外だった。8年前に日本に不法入国しようとして成田で一時拘束された時の印象がずっと頭にあった。態度がふてぶてしく映った

 当時の後継予想は長男に向いていたから尊大に映ったのだろうか。状況は人を変える。継がなくていい気楽さがインタビューに表れたようにも見える。独裁世襲などあってはならないが、「自由」をもっと膨らませて語る人へのバトンタッチなら悪くない、と思ったりもする。

 春秋 西日本新聞 2009年6月11日
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「かぐや」がなめるように撮った月面の映像「地球の出」・・・春秋 八葉蓮華

 米アポロ11号の船長らが月面に降り立ってから来月で40年になる。人類初の快挙だった。「20世紀最大の冒険」とも形容されたロマンのゴールでもあった

 資源開発もにらんだ今日的命題からみれば、いまも続く月探査の旅の始まりだった。米国などの宇宙大国だけでなく、中国やインドも無人探査機を打ち上げて新段階に入っている

 先頭を行くのが日本だ。一昨年秋に送り込んだ探査機「かぐや」と子機「おきな」が成果を収めた。月の起源や進化の解明に迫るデータを、月の裏側を含めて収集した。「おきな」は九州大学が中心になって開発した
 
 宇宙は科学とロマンをドッキングさせる。探査機の名は竹取物語から取った。月探査にロマンを見るのは日本だけではない。「かぐや」の後に打ち上げられた中国の「嫦娥(じょうが)」は、月に住むとされる仙女伝説から取った

 ロマンも乗せた日中の3機は、同じ時期に月の周りをランデブーした。「おきな」は今年2月に任務を完了して月面に落下した。「嫦娥」も3月に同様の最後で役目を終えている。「かぐや」もあす11日未明に月面で最後を迎える

 「かぐや」がなめるように撮った月面の映像や「地球の出」の映像を、宇宙航空研究開発機構のホームページで観賞できる。月探査機に搭乗した気分になれる。日本最古の物語とされる竹取物語と、21世紀の技術が地球に届ける映像を、重ね合わせて楽しめる時代になった。

 春秋 西日本新聞 2009年6月10日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

世界を驚かそう「南アフリカW杯」高い目標を掲げて言葉をたぎらせる・・・春秋 八葉蓮華

 世界最大のスポーツイベント、サッカー・ワールドカップ(W杯)の南アフリカ大会(2010年6月11日開幕)が1年後に迫った

 国際サッカー連盟の加盟国数は国連加盟国より多い。予選から世界中の国旗が揺れ、盛り上がりは五輪をしのぐ。日本が最初に南アフリカ行きを決めた。アジアではオーストラリアと韓国、欧州ではオランダも名乗りを上げた

 各国各様のドラマがあった。日本の場合は監督が交代した。白星なしに終わったドイツ大会からの巻き返しを託されたオシム前監督はチーム改造のさなかに病に倒れ、急きょ岡田武史監督が引き継いでここまで来た

 含蓄のある「オシム節」の前監督は哲学者のようだった。高い目標を掲げて言葉をたぎらせる現監督は文字通り熱血漢だ。二人の味が日本代表チームにはうまくまぶされているように感じる

 前監督が種をまき、現監督が開花させた。あとは本番で果実を収穫できるかどうかだ。不安より期待が大きい。名前を知って間がない若い選手のたくましさがそう思わせる。主力選手に九州出身が何人かいるのもうれしい

 オシムさんは「アイデアのない人間でもサッカーはできるが、サッカー選手にはなれない」と話したことがある。岡田さんは「世界を驚かそう」「ベスト4が目標」と語ってきた。目標はともかく、オシム語録に倣っていえば現チームには世界を驚かすに足るサッカー選手が何人もいる。

 春秋 西日本新聞 2009年6月9日
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帰らざる傘「入梅」傘を持ったモンローが、忘れないでね・・・春秋 八葉蓮華

 昨年1年間に全国の警察に届けられた「落とし物」は1700万点を超えた、と警察庁が発表した。前年より36%も増えた。1日に5万点近いというから保管や返還の事務も大変だろう

 保管場所をとらない落とし物もある。ハンカチやティッシュのたぐいだ。「?」となる人もいるはずだ。落とす人はたくさんいても、届け出る人が同程度いるとは想像しにくい。交番などに届ける人が最近は増えたらしい

 近年、遺失物法が改正され、インターネットでの拾得品情報検索が可能になったりした。改正に合わせて「拾得物の速やかな届け出」の広報にも力を入れた。その効果がハンカチなどにも、ということのようだ

 想定外の届け物はさておき、落とし物といえば思い当たる人がたぶん多いのが傘。ちなみに警視庁のデータによると、東京都内での昨年の拾得届け出数は約250万件で、傘38万本、財布類23万個、携帯電話11万台の順となっている

 傘は乗り物の中が多い。30年ほど前に東京の地下鉄構内で「帰らざる傘」のポスターが話題になった。マリリン・モンローの「帰らざる河」のパロディーだった。傘を持ったモンローが、忘れないでね、と迫っていた

 このところ空模様がすっきりしない。6月もそろそろ中旬にさしかかる。暦の上では11日が「入梅」だ。それに合わせるかのように週間予報でも九州は週の半ばに傘マークが並ぶ。傘の置き忘れにご用心。

 春秋 西日本新聞 2009年6月8日
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動物に触って感じる「命」タイガとココアのバースデー・・・春秋 八葉蓮華

 昨年の今ごろ、北海道・釧路市動物園でアムールトラが3頭生まれた。産んだ母親は赤ちゃんに関心を示そうとしなかった

 飼育員が取り上げてみるとみんな冷たくなりかけていた。1頭は間もなく死んだ。2頭はかすかに息をしていた。お湯で温めてマッサージをした。ミルクを与えると力強く飲んだ

 「ダメかな」と最初は思ったという。ミルクの飲み方に、生きようとする力を感じた。生きることができた2頭は、しかし様子が変だった。よく見ると脚が曲がっていた。軟骨形成不全症。歩けるようにはなりそうになかった

 雄のタイガと雌のココアは今、獣舎の中でじゃれ合い、元気に走り回っている。生まれたときは1キロそこそこしかなかった体重は40キロ近くにまで増えた。満1歳になった日は、鶏肉と牛肉で作った特製の「バースデーケーキ」にかぶりついた

 この間、園側の懸命な飼育があった。2頭はそれに応えて大きくなった。脚を引きずって歩き始めたときは、入園者たちが「頑張って」と応援した。報道で知った人からの励ましのメッセージも各地から届けられるようになった

 釧路新聞によると、山口良雄園長は地元でよく講演する。「動物に触って感じる命がある。触ることでさまざまな発見があり、これがまさに教育かなと思う」。講演を聴いた高校生は全校でタイガとココアの応援募金をした。きょうだいは「命」の生きた教材になっている。

 春秋 西日本新聞 2009年6月7日
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バラの香り「よみがえる黄金文明展」古代史のベール・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 「酒とバラの日々」という邦題の米映画があった。原題では酒はワインのことだ。ワインとバラとくれば欧州にも知られた国がある。ヨーグルトを加えると分かりやすい

 北をドナウ川、東を黒海に縁取られたブルガリアは、「バラの谷」と呼ばれる広大な平地を国土の中央部に持つ。いまごろの季節は見渡す限りピンク色に染まるそうだ。バラ油が高級香水用にフランスなどに輸出される

 「バラの谷」のバラと同じ香りを、福岡市博物館でかぐことができる。7月5日まで開催中の「よみがえる黄金文明展」の会場の一角が、特殊装置でそう演出されていた。甘い香気が漂う展覧会は珍しい

 その一角には「トラキア王の黄金のマスク」などが展示されている。「バラの谷」にある墳丘墓から青銅製よろいなどと一緒に2004年に発見された。「エジプトの『ツタンカーメンのマスク』以来の発見」と騒がれた

 紀元前の欧州にはベールに包まれた部分が少なくない。バルカン半島で名を成し、トロイ伝説に登場する古代トラキアもその一つ。ギリシャのホメロスの叙事詩にも出てくる。トラキアの遺跡に乗っかるかたちでブルガリアはできた

 知らずに乗っかっていたに等しい時代が長くあった。社会主義政権崩壊に伴う混乱期を経て、「国家の宝」の発掘と保存が本格化したのは、つい最近のこと。バラの香りもまとった古代史のベールが一枚一枚はがされていく。

 春秋 西日本新聞 2009年6月6日
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再審「開かずの門」人が人を裁くことの難しさ・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 「開(あ)かずの門」とかつては呼ばれた。「再審」の門のことだ。一度確定した判決を覆すことはできなかった

 私事ながら、司法を担当して最初に書いた大きな記事は、熊本県で起きた「免田事件」の再審開始決定(福岡高裁)だった。「開かずの門」が開いた。死刑囚としては初めて再審無罪になった。開始決定から30年になる

 死刑の恐怖から生還した免田栄さんは、一市民としての普通の生活を取り戻した。欠けていたものがひとつある。年金生活だ。「国民年金に加入する機会を、不当な拘置で奪われた」として国に資格回復を申し立てる、と昨日の本紙にあった

 冤(えん)罪(ざい)の傷あとの大きさをあらためて思う。免田さんのほかにも、無実の訴えが届かずに長く獄中にあった人は何人もいる。昨日約18年ぶりに釈放された菅家利和さんもその一人。「足利事件」で無期懲役刑が確定していた

 再審請求中の「足利事件」については先々月の小欄でも書いた。DNA鑑定の進化により菅家さんは犯人ではないと判明した。鑑定の精度を疑う人はいない。ともあれ近く再審開始決定が出され、無実が確定するはずだ

 「再審の門」は開く時代になった。開く場合もある、といったほうが正確か。「袴田事件」のように、死刑判決を書いた元裁判官が再審請求活動に加わっても容易に開かない例もある。思うのは、人が人を裁くことの難しさだ。そんな中で裁判員制度は始まった。

 春秋 西日本新聞 2009年6月5日
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無色無臭で忍び寄る「一酸化炭素」中毒・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 どこかで毎年のように起きる。死亡事故になることが少なくない。知らずに、あるいは過失で発生させた一酸化炭素(CO)が時々、犠牲者を生む

 昨年、北九州市の水道管敷設現場で作業員3人が死亡した事故は記憶に新しい。横穴内で発電機を使った際に発生したCOによる中毒死だった。過失を問われた元作業班長は先々月、1審有罪になった

 ことし1月には、鹿児島県出水市の女子高校で、生徒17人と教諭1人が病院に搬送され、入院している。調理室で実習中に気分が悪くなった。ガス器具の不完全燃焼によるCO中毒とみられている

 COは無色無臭で忍び寄る。まさか、と思われるような状況で発生することが珍しくない。事故が報道されるたびに怖さをかみしめる。「まさか」をかみしめる事故がまた1つ報じられた。こんどは山口県美祢市の観光ホテルで起きた

 秋芳洞から近いそのホテルには、大阪から修学旅行に来た小学6年生らが滞在していた。同行のカメラマンが死亡した。教員も次々に倒れ、児童も病院に運ばれた。救急隊員がふらつくほどのCOが館内を支配していた。一体何が起きたのか

 亡くなったカメラマンは26歳だった。奈良市内の印刷会社に勤め、小学校の卒業アルバムを担当していた。アルバムを楽しい思い出で埋めるはずの修学旅行で…、と思うと言葉を失う。COの怖さをかみしめる、これを最後にする方法はないものか。

 春秋 西日本新聞 2009年6月4日
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「超大国」国際社会は民主化・人権問題に厳しい視線を注ぐ・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 山岡荘八著「徳川家康」が中国でベストセラーになっている。中国語版は一昨年秋に出版され、13巻で計200万部を超えた。国が大きく動く時代の指針としても読まれているようだ

 中国でよく売れている本にはオバマ米大統領の自伝も含まれる。ことしが米中国交正常化30周年にあたることとも無関係ではなさそう。超大国へのあこがれを感じ取る向きもある

 著者が中国人のベストセラーでは、今春出た「中国不高興(不機嫌な中国)」に目が行く。メディア関係者らの共著による評論集だ。中国は外交や軍事面でもっと自己主張し、大国への道を堂々と歩め、と説いている

 中国が大国になるであろうことを疑う人は中国人以外でも少ない。何も変えずとも自然に大国になれる、とみる人もまた少ない。国際社会は民主化・人権問題に厳しい視線を注ぐ。根っこに天安門事件がある

 学生らの民主化要求デモを武力で制圧し、大勢の死傷者を出した。あすで丸20年になる。政府は「暴乱」として片付けてきた。告発本の出版が香港で相次いだ。北京などで出版できる時代がこないと真の大国にはなれない

 「徳川家康」を中国の指導層が読むこともあろう。山岡さんは家康を太平を実現した国家経営者として描いた。この小説が「家康が構想した『戦のない世界』」をもたらす契機になれば、と「あとがき」に書いている。そこのところもちゃんと読み取ってほしい。

 春秋 西日本新聞 2009年6月3日
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「GM国有化」繁栄の土台を築いた誇りがホコリをかぶって驕りになった・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 思えば象徴的な光景だった。昨秋、米国の上院公聴会でゼネラル・モーターズ(GM)の会長らが政府に緊急融資を求めた時のことだ。デトロイトからは会社の自家用ジェット機で飛んできた

 「破(は)綻(たん)したら米経済も壊れる」から融資は当然、と言いたげな自動車ビッグスリーの首脳たちは、翌日の下院公聴会で「タキシード姿の気取った人間が無料食堂に現れたようなもの」と皮肉られて小さくなっていた

 「驕(おご)り」が言われて久しい。最強だったGMにとくに色濃かった。米国の繁栄の土台を築いた誇りがホコリをかぶって驕りになった。連邦破産法11条の申請に至る経緯をたどるとそんな図が浮かぶ

 一から出直さずに済むチャンスは過去に何度もあった。1980年代を思い出す。日本のメーカーは低燃費車、低公害車を世界市場に次々に送った。米国のメーカーは「そんなものが何だ」という態度だった

 米国車が苦境に陥るたびに、デトロイトの工場労働者は日本車を大きなハンマーでたたき壊した。怒りを向けるべき相手は同じ街の高層社屋内でふんぞり返っていたことを今や知らない人はいない

 巨大企業が破綻した直接の原因は米国発の金融危機だった。世界の人々が共有する怒りは、金融危機を招いたマネー至上主義に向いている。米国発のこれも一緒に一から考え直すきっかけになれば、米政府にとって「GM国有化」は高い買い物にならないで済む。

 春秋 西日本新聞 2009年6月2日
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畿内か九州か「卑弥呼の墓」邪馬台国はどこにあったのか・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 女王卑弥呼が治めた邪馬台国はどこにあったのか。「畿内(大和)説」と「九州説」に二分される論争は、綱引きのように優勢劣勢のあやが行ったり来たりしてきた

 九州説は一通りではない。20年前に大規模な環(かん)濠(ごう)集落跡が発掘された佐賀県の吉野ケ里説を含め北部九州を中心に諸説ある。発信するグループが郷土史家らを中心に現在も各地にでき、九州説をにぎやかなものにしている

 論争に火を付けた往年のベストセラー本「まぼろしの邪馬台国」は昨年、映画になって彩りを添えた。先月は九州各地の歴史愛好家が、宇佐説を持つ大分県・宇佐で邪馬台国論争大会を開いている。論争はやむことがない

 畿内か九州か、の綱引きでは畿内説側が綱を引き寄せたのか。「卑弥呼の墓」説がある奈良県桜井市の箸(はし)墓(はか)古墳について、説を裏付ける調査成果を国立歴史民俗博物館(歴博、千葉県佐倉市)がまとめた

 古墳の周濠(しゅうごう)から出土した土器に付着した炭化物などを科学的鑑定で分析し、古墳の築造時期を240―260年と推定した。中国の歴史書「魏志倭人伝」によると卑弥呼が死亡したのは248年ごろ

 歴博は「卑弥呼の墓の可能性が極めて高い」と言う。九州説の人は分析精度への疑問を挙げ「論争に一石を投じた程度では」とみる。綱を引く手に力を得た畿内説側と、腰を落として踏ん張る構えの九州説側。そんな図も浮かぶ。卑弥呼の感想を聞いてみたい。

 春秋 西日本新聞 2009年6月1日
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子どもが作る「弁当の日」命ある食べものをいただくありがたさ・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 手前みそな話で恐縮だが、本紙が連載して本にもなった「食卓の向こう側」を取材した元同僚のことを書かせていただく。転勤族の夫と暮らすため退社し、現在はフリーライターをしている

 愛媛県今治市の「JAおちいまばり」の広報誌2009年4月号への寄稿を、同じ年齢の友人のことから書き始めている。友人は8年前、25歳のときに乳がんと分かって手術をした。その後妊娠して出産した

 「母親として娘に残せるものは何?」と自分自身に尋ねる日が続いたそうだ。「食卓の向こう側」の出版に携わった出版部員の妻だった友人はインターネット上の日記「早寝早起き玄米生活」に日々をつづっていた-

 5歳になると、みそ汁の作り方を教えた。教わった通りに作れるようになった。お父さんと食べる。お母さんは食卓につけない。昨夏33歳で亡くなった。作り方を教えて5カ月後のことだった

 みそ汁にこめられた思いが元同僚にはまぶしかった。加工食品全盛の世は台所に立たない大人を増やした。振り返れば自分も自炊ゼロの一人だった。そんなことでいいの? 子どもはどうなる? 連載取材を通してそう考えるようになっていた

 命ある食べものをいただくありがたさ、手に「食」を取り戻すことの大切さを、取材で学んだ元同僚は、子どもが作る「弁当の日」を呼びかける一人になった。友人が遺(のこ)したメッセージを継ぎたい、と思うから。

春秋 西日本新聞 2009年5月31日
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