カレンダー

04 | 2009/05 | 06
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

最新記事

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

逃げ出し、連れ戻され「かわいがる」けいこと称した制裁・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 スモウ・スピリットにはサディズムも欠かせないのか、と思ったという。けいこでかわいがられ、つまりは鍛えられて苦痛の声を上げるのを兄弟子は楽しんでいるようにも見えた

 米ハワイ出身の高見山は自著でそう振り返っていた。関取になった後は「若い力士のために自分がサディスト役を引き受けた」とも。「かわいがる」ことの中にスモウ・スピリットがあると知ったからだ

 来日した翌年、関取になるずっと前だが、逃げ出したことがあった。山手線に乗ってグルグル回り、高砂部屋に帰ると、電気がついたけいこ場で親方がひとりで碁を打っている。殴られると思った。親方は、しかし静かに笑って迎えてくれた

 一昨年、時津風部屋を逃げ出し、連れ戻された斉藤俊さん(17)を待っていたのは制裁による暴行死だった。けいこと称した制裁を兄弟子3人に指示した、として元親方は昨日、実刑判決を言い渡された

 元親方は「かわいがってやれ」と言った、とも報道された。多くの親方がはらわたを煮えくり返らせた。元関脇高見山の東関親方もその一人。かわいがり方を知る一人だった。来月で65歳になり定年で角界を去る

 高見山時代の逸話を拾った自著のタイトルの1つは「大相撲を100倍愛して!」(83年、グリーンアロー出版社)。戦後初の外国出身力士がタイトルに込めた思いの何分の1かでも持っていたら、あんな事件は起きなかった。

 春秋 西日本新聞 2009年5月30日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
スポンサーサイト

「マスク姿の日本人」マスクで何かを防ごうとする習慣、衛生観念・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 メキシコ発とされる新型インフルエンザの出現が分かって1カ月になる。感染者が出た国・地域は50を超え、日本がその1つになってからでも3週間が過ぎた

 日本の感染者数は米国、メキシコ、カナダに次いで多い。「なぜ日本が?」の声が聞かれた。国内感染が判明した当初の感染者の増え方でも世界保健機関(WHO)を驚かせた

 欧米を驚かせたことがもう1つある。マスク姿が多い街頭写真を、不思議そうに載せた新聞があったという。日本の新聞は、米国からの帰国者が「向こうでは、マスクをすると奇異の目で見られた」と話すのを報じた

 そんな国から来た人の同様の驚きは、花粉症対策でも聞いた。マスクで何かを防ごうとする習慣が欧米にはないようだ。「変人と思われるから、しない」という英国人の言葉も紹介された

 「マスクと日本人」は普段の衛生観念などを抜きには語れない。それ自体は奇異でも何でもない。逆に日本人には奇異に映る光景が欧米にはある。例えばフランスではパン屋で買ったバゲットをむき出しのまま車の座席に置いたりする人が珍しくない

 話がそれた。新型インフルエンザの予防に戻していえば、マスクは人込みでは一定の効果はあるが万全ではない。ついでながら、関西では花柄などのデザインマスクが登場した。おしゃれなものが増えれば日本を見る目も少しは変わるだろう。マスク不要になるのが一番いいが。

 春秋 西日本新聞 2009年5月29日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

総選挙が近い「党首討論」政策や理念 どの党が優れているのか・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 半世紀余前の日本は復興という名の再生のツチ音が処々方々で聞かれた。政治の世界も例外ではなかった。政権をめぐる構図も忙しく変化した

 政権構図の激変は保守内部でも政敵を生んだ。吉田茂、鳩山一郎の両元首相の関係は今も語り草。共に数次にわたって内閣を率いた。日本民主党を結成した鳩山が、日本自由党の吉田に取って代わる一幕もあった

 1955年の保守合同で自由民主党となり、一時期を除き首相を生み続けて現在に至っている。歴史は巡って現首相は吉田の孫。最大野党の民主党は鳩山の孫をこのほど代表に選び、首相候補として名乗りを上げさせた

 麻生太郎首相と鳩山由紀夫民主党代表の党首討論が行われた。党首討論は10年前に始まった。提唱したのは小沢一郎氏。巡る歴史に話を戻して言えば、小沢氏は吉田内閣で大臣を歴任した小沢佐(さ)重(え)喜(き)の息子である

 党首討論で麻生首相は、民主党代表を退いた小沢氏のことを何度も問題にした。秘書が逮捕された献金事件で攻める、と決めていたようだ。その分、政策や理念の話は薄くなる。総選挙が近い時期の党首討論がこれでいいのだろうか、とも思った

 2009年の日本は100年に一度の経済危機の中で再生策を模索中。宿題として引きずるカネ食い官僚国家との決別も急がねばならない。再生策と決別策はどの党が優れているのか。核心を党首討論でこそ聴きたい。早急に第2ラウンドを。

 春秋 西日本新聞 2009年5月28日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

宇宙長期滞在「おもしろ宇宙実験」新しい朝が来た 希望の朝だ・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 新しい朝が来た 希望の朝だ…。「ラジオ体操の歌」で目覚めた、と報道されたのは70日ほど前のことだった

 米国のスペースシャトル・ディスカバリー内で目覚めた若田光一さん(45)は、その日のうちに国際宇宙ステーション(ISS)に乗り移っている。いまも寝起き中のISSの日本の実験棟も「きぼう」という名前だった

 若田さんに「ラジオ体操の歌」を送ったのは、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員たち。「長い旅だから健康に留意を」との気持ちを込めた。滞在期間は3カ月半。日本人初の宇宙長期滞在になる

 無重力状態でもラジオ体操はできるのだろうか。若田さんは音楽に合わせてやってみた。手足を動かす反動で体が浮いて天井に当たりそうになったり、体をひねると回転したり、大変そうだった

 ラジオ体操はJAXAが公募した「おもしろ宇宙実験」の1つでもあった。全国から1600件近いアイデアが寄せられた。バック転や腕立て伏せ、サッカーのオーバーヘッドキックは楽々とできた。水泳のクロールの動きも試したが「全く進みません」と報告していた

 地球外の狭い空間での長期滞在は筋肉や骨を衰えさせる。毎日2時間以上マシンも使って運動中。「ラジオ体操の歌」は、手足を広い地に伸ばせイチニッサン、とも歌っている。任務を終えて帰ってきたら、手足を思いっきり伸ばして古里地球を実感するのだろう。

 春秋 西日本新聞 2009年5月27日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

要求が通らないと見るや「核とミサイル」をセットにした脅し・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 「大国」とは何か。昔そう呼ばれた国もあれば今そう呼ばれている国もある。復活してきた国も加わって、大国をめぐる模様をにぎやかなものにしている

 主要国首脳会議などに参加する国の数も表す「G7」や「G8」も、「昔組」「今組」「復活組」に分けることができる。順に英仏伊・日米・ロシア、などが浮かぶ。異論もあろうが話を先に進める

 大国にもいろいろあって、ひとり抜きんでた米国は「超大国」の名をほしいままにしてきた。日本は「経済大国」と呼ばれた。中国の現在の姿は「軍事大国」か。北欧には「福祉大国」がある

 「G」の枠組みに入れられることも、「○▽大国」と呼ばれることも見込めない国であっても、自称は可能だ。さしずめ北朝鮮がその代表。目標に「強盛大国」を掲げている。金正日総書記は「数年内に」とげきを飛ばす

 強盛大国とは政治・思想的にも軍事的にも経済的にも強い国を指すという。軍事を最優先させてきた。総書記の健康問題が絡むのか、最近は何かと事を急ぐ。対外的に要求が通らないと見るや「核とミサイル」をセットにした脅しに忙しくなる

 きのう二度目の核実験に成功したと発表した。度し難い。短距離ミサイルも発射したらしい。6カ国協議で北朝鮮と対(たい)峙(じ)する日米も、味方の中国も一様に頭を抱える。日米中はそれぞれ既に大国だ。「大国を振り回すのだから我(われ)も大国」と言いだしかねない。

 春秋 西日本新聞 2009年5月26日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

「年老いた私」私の人生の終わりに少しだけ付き添って欲しい・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 昨年秋に初めて聴いた。「一度聴いてみてください」と読者の方からお便りをいただいたのがきっかけだった

 「手紙―親愛なる子供たちへ―」というタイトルの曲だった。樋口了一という初めて聞く名前のシンガー・ソングライターがギターを弾きながら歌っていた。語りかけるように歌う。静かに引き込まれる

 〈年老いた私が ある日 今までの私と違っていたとしても〉と歌詞は始まる。〈どうかそのままの私のことを理解して欲しい〉…〈服の上に食べ物をこぼしたとしても〉〈同じ話を何度も何度も繰り返しても〉…

 聴く人が静かに増え、樋口さんがいろいろと語る機会も増えた。作者不詳のポルトガル語の詩を、友人の角智織さんが訳し、樋口さんがメロディーをつけたという。戸惑いもあった。介護問題に詳しいわけでもない自分に「こんな曲を歌う資格があるのか」と

 樋口さんには老いた父がいる。熊本に帰省したときに聞いた一言で吹っ切れた。先日テレビでそう話していた。「自分はもう長くはない。でもそれは自然なこと。悲しいことではない」と言われたそうだ

 悲しいことではない。曲の中の親もそのことを子どもたちに伝えようとする。〈あなたの人生の始まりに私がしっかりと付き添ったように 私の人生の終わりに少しだけ付き添って欲しい〉。歌詞に同じ思いを重ねる人がこの国にはたくさんいる。涙なしに聴き終えるのは難しい。

 春秋 西日本新聞 2009年5月25日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

モンゴル勢中心の優勝争い「千秋楽」モンゴル勢に話題を独占され・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 残る3日間を全部勝たないと大関陥落、の危機に追い込まれたときは“すんなり土俵を割る”かと思われた。どっこい「残った残った」。きょうの千秋楽も「残った」となるのかどうか

 仮に2場所連続で負け越して大関から落ちることになっても、千代大海は「現役続行」と場所中に宣言した。関脇で10勝すれば大関に戻れるからだ。開き直ったのだろう。それが良いほうに出た

 先月、33歳になった。突き押しに徹したスピード重視の取り口は、四つ相撲より年齢が出やすいと聞く。それでも千代大海は突いて押して前に出る。限界説という壁と向き合う態度もそれと似ている。意気や良し

 きのうの大関魁皇戦は見ていて力が入った。魁皇は四つ相撲を代表する。いくら突き押しの力士より長持ちするとはいえ、現在36歳の幕内最古参。引退の危機も一度や二度ではなかった

 けがとも闘う2人がきのう土俵上で交わしたであろう無言の会話を想像する。九州出身同士ということもあって励まし合う仲だ。33歳は36歳を親しみを込めて「おっさん」と呼んできた。先に土俵を去るわけにはいかない

 モンゴル勢に話題を独占されてたまるか、の心意気を共に見せ続けてほしい。「電車道」の千代大海と「上手を取ったら無敵」の魁皇。2人の「型」は大相撲の魅力を代表する。モンゴル勢中心の優勝争いを見ながら、そんなふうにも思ったことだった。

 春秋 西日本新聞 2009年5月24日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

「足るを知る」社会への還元より自分たちが富むることばかり・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 ゾウが好きなリンゴなどを、2つのバケツに数を違えて交互に数回加え、ゾウが多いほうを選んだ場合を正答とする実験を繰り返したところ、上野動物園のアジアゾウの正答率は9割近かった

 「ゾウは足し算も得意だぞー」というこの話、東大大学院文化研究科博士課程の女性の実験で分かった。イタリアからは昨日「ひよこは足したり引いたりできるんだよ」との研究結果が伝えられた

 ふ化直後のひよこには、数が多いほうの集団に寄っていく習性があるのを利用して実験したそうだ。仲間に見立てた5つの物体を、2つのついたての陰に分けて隠し、次には移動させても、数が多いほうのついたてに近寄っていった

 人間も足し算と引き算を基本に日々を営む。時々変調をきたす。背任容疑で逮捕された財団法人・日本漢字能力検定協会(京都市)の前理事長と前副理事長がそうだった。足し算に熱中しすぎた

 協会の資産を、自分たちが役員を務める企業に不正に流出させた疑いが持たれている。そのために協会の利益を膨らませる足し算に忙しかった。公益法人の存在価値は、社会への還元に通じる引き算にこそあるのに

 2人は父と息子だ。「足るを知る」がモットーだったらしい。どうなっているのやら。京都の竜安寺には「吾唯(われただ)足るを知る」の意味が刻まれた手水(ちょうず)鉢がある。行って話を聞いて、自分を知る日が来るといい。この父子に限ったことではない。

 春秋 西日本新聞 2009年5月23日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

独立自尊「未来をひらく福澤諭吉展」天は人の上に人を造らず・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 福沢諭吉は妻錦(きん)との間に9人の子どもがいた。四男五女。「わたしは9人がみんな娘だって少しも残念と思わぬ」。そんな言葉も残している

 「天は人の上に人を造らず…」の諭吉にとって、男女に軽重のあろうはずがない。女を軽んじてきた風潮に対しては、断固言った。「こんなばかげたことはない」。その態度は終生変わらなかった

 明治3年に中津で書いた「中津留別之書」の一節。「天の人を生ずるや、開闢(かいびゃく)の始、一男一女なるべし。数千万年の久しきを経るも其(その)割合は同じからざるを得ず。又(また)男といひ女といひ、等しく天地間の一人にて軽重の別あるべき理なし」

 国の基礎を個人においた。個人に男も女もない。個人の自立が新しい一家を形成し、自立した一家が集まって国を成す。そう考えた、と知れば、諭吉が体現した「独立自尊」は味わいを増す

 女性解放は20世紀を待たなければならなかった。世紀が変わった1901(明治34)年元日、九州が生んだ思想家は「独立自尊迎新世紀」と揮(き)毫(ごう)した。足跡の数々を「未来をひらく福澤諭吉展」で見ることができる。福岡市美術館で6月14日まで

 揮毫して1カ月後に他界した。葬儀や追悼会には女性の姿が多かったという。倒れる直前に諭吉は、女性論の集大成となった自著に「男子亦(また)この書を読むべし」と書き添えて門下生らに配った。読んだほうがいい男性は21世紀にも少なからずいる。

 春秋 西日本新聞 2009年5月22日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

極刑への関与、市民が人を裁けるのか、裁判員制度がきょうスタート・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 裁判員制度がきょうスタートする。戦後最大の司法改革と政府は言う。判決に市民感覚を反映させて司法への信頼を高める。そのための扉が開く

 はずだったが、開く音にきしみが交じる。裁判官と同じ席に座ることになる側の疑問、不安がきしませる。世論調査によると参加に消極的な人が多い。何が国民をためらわせるのか

 疑問は広報の仕方にも向いた。かわいらしい着ぐるみのマスコット人形を使った街頭での光景が一時期見られた。そういうPRがなじむ種類の「改革」ではないだろう、と感じたことを思い出す

 報道機関を通じての広報は、参加を促す環境づくりに重きがおかれた。専門用語を平易に改めるなど、いろいろあった。裁判員になったら日当や遠隔地の人には宿泊費も…、というのもあった

 環境づくりと同じ程度の量の広報が、素朴な疑問の解消に向けられていれば世論調査結果はたぶん別のものになった。重大刑事事件だけが対象になった理由は今も分かりにくい。そもそも市民が人を裁けるのか。答えが見つからないまま死刑判決にかかわる自分を想像してたじろぐ

 極刑への関与をなくすだけでも様子は違ってくる。民意を司法に、ということでいえば民事・行政訴訟のほうが似合う。3年後の見直し規定があるが3年も待てない。以上、裁判員制度の意義については種々の報道がなされるから小欄では趣を変えた。変えすぎただろうか。

 春秋 西日本新聞 2009年5月21日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

今から200年前、謎の多い生涯「間宮林蔵」海峡にその名を残し・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 1809年5月というから今から200年前のこと-。樺太(サハリン)が半島ではなく島であることを発見した男がいた。西岸の北端に近い海峡にその名を残している

 間宮林蔵は常陸国の農家に生まれ、小さいころから竹ざおで山の高さなどを測って遊ぶ子だったという。測量役人の目にとまって江戸で勉強し、のちに蝦(え)夷(ぞ)(北海道)で伊能忠敬からも学んだ

 樺太探検に参加したのは「間宮海峡」の発見前年。ロシアの軍艦が南下するなど北方の地も幕末に向け風雲急を告げていた。そんな時代に探検家として樺太を踏査し、後年は隠密として日本各地を渡り歩いた

 謎の多い生涯は作家の執筆欲を刺激してやまない。苦難の探検行を吉村昭さんはドキュメンタリーふうの「間宮林蔵」に、北方謙三さんはハードボイルドタッチで「林蔵の貌」に書いた

 もとより生き方は1通りでない。幕府天(てん)文(もん)方(かた)の高橋景(かげ)保(やす)が絡んだシーボルト事件を告発した。誇りを傷つけられたため、とみる童門冬二さんは、「納得できない上司の過失は過酷なまでに暴く」林蔵を「江戸管理社会反骨者列伝」で書いた

 隠密で終わらせるのはもったいない、と考えたのかどうか「徳川時代最大のロマンチスト」にしたのが柴田錬三郎さん。「異説幕末伝」で異国の美女にあこがれる林蔵を登場させ、海峡を渡って大陸に深く侵入させた。「200年」を機に泉下の林蔵に感想を縷(る)々(る)語らせてみたい。

 春秋 西日本新聞 2009年5月20日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

私たちは核廃絶の道を歩むか「ヒロシマ・ナガサキ宣言」希望の灯をかざす人たち・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 1990年、広島平和記念資料館を訪れた平和運動家メイリード・マグアイアさん(北アイルランド)は、次のように記帳している

 「戦争の思想や武器はすべて遠ざけましょう。いかなる紛争を解決するにも非暴力という方法を用いることを誓いましょう」。涙をぬぐいながら展示に見入る写真が残っている。記帳はこう続く。「私たちがヒロシマにしたことを許してください」

 マグアイアさんらが主導し、自身もその一人であるノーベル平和賞受賞者17人の連名で作成した「ヒロシマ・ナガサキ宣言」が発表された。各国の政治指導者と市民に核廃絶に向けた新たな決意と行動を呼びかけている

 連名に名があるサンチェス元コスタリカ大統領、デクラーク元南アフリカ大統領も同じ資料館を訪問したことがある。「世界中の人々がこの資料館の展示を心に刻みつけることを願います」などと記帳していた

 核廃絶の願いが絶望の色を帯びたことは一度や二度ではない。希望の灯をかざす人たちが、唯一の被爆国で、世界のどこかで、声を上げ、行動してきた。その輪に唯一の核使用国の指導者が加わった今年、希望は輝きを増した

 宣言は言う。「私たちは核廃絶の道を歩むか、さもなければヒロシマ・ナガサキの惨禍が繰り返されるのを待つかのどちらかです」。前者の先頭に立つ、とオバマ米大統領が現職で被爆地を訪れて誓い、記帳する日を想像したくなる。

 春秋 西日本新聞 2009年5月19日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

「心の備え」災禍を少しでも小さなものにするための制限を種々強いられていく・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 本拠地球団の7回裏攻撃前にファンが風船を膨らませて一斉に飛ばす「ジェット風船」が、プロ野球観戦の楽しみの1つになって久しい。勝利が決まった直後に飛ばす風船の群れも壮快だ

 オリックス球団の本拠地、京セラドーム大阪は一昨日の日本ハム戦から風船販売をやめた。場内では「新型インフルエンザの感染防止にご協力を」のアナウンスを流した。ジェット風船が唾液(だえき)の飛散につながるのを恐れた

 日本で初めて新型インフルエンザの「国内感染」が神戸市内で確認されたのを受けての措置だった。きのうもバレーボール関西大学リーグなどスポーツ競技が中止になったり、地域の祭りが取りやめになったりした

 発端のメキシコで感染者が報告されて3週間余。各国で報告例を増やす新型インフルエンザによる人から人への感染は、日本でもひそかに進行していた。2日間に兵庫と大阪で確認された感染者は50人を超えた

 ウイルスの侵入を日本だけが空港などで阻止するのは不可能なことだった。三十数カ国を数えていた感染国の1つに日本もなった。そう受け止めるしかない。政府の備えにぬかりがあろうはずもないし

 心の備えにもぬかりがないようにしたい。災禍を少しでも小さなものにするための制限を種々強いられていく。スポーツ観戦などで楽しみが制限されるのは初期段階、くらいに思っていたほうがいい。覚悟は長期にわたって試される。

 春秋 西日本新聞 2009年5月18日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

民主党新代表セールスポイント「党をまとめ上げる包容力、調整力」・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 民主党代表選を展望するテレビ番組に、一方の応援団員として各局を駆け持ちした若手議員は「新代表にはWBC出場チームの監督のような役割が…」と話していた

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のことは記憶に新しい。連覇した日本チームは個性的なスター選手を集めていた。それを束ねた指揮官と同様の器量が今の民主党には何より求められる、という趣旨だった

 その議員も推した鳩山由紀夫氏が、きのう新代表に選出された。選挙戦中に自分のセールスポイントを聞かれて、鳩山氏はこう答えていた。「党をまとめ上げる包容力」(朝日新聞)

 「鳩山監督」が率いる民主党チームの主力陣をおさらいしておく。鳩山氏と争った岡田克也氏をはじめ、現役バリバリの監督経験者が何人かいる。「ミスター年金」を含めて若手のスター選手も多士済々。束ねたら相当な破壊力になる

 束ねられるかどうかは「剛腕」投手の処遇にかかってくる。お金に絡む問題への説明が足りないまま頼りすぎると若手主力の意欲をそぐ。出番を狭めすぎるとこれまでの功績を重く見るベテラン陣の反発を買う

 説明を求めたうえでの、要は適材適所だ。それやこれやに必要な「調整力」なども、鳩山氏は自身の強みに挙げていた。WBC日本代表監督になぞらえれば、初代のような器自体の大きさ、2代目のような一種さわやかさもほしい、と思う人もいるだろう。

 春秋 西日本新聞 2009年5月17日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

4年に一度、人物と政策が国民の厳しい目にさらされ続け、リーダーになれる・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 リーダーの決め方にルールはない。基本的には強い者が上に立つのが世の習いだ。腕力の強さで決めたりする例は小集団なら今でもある

 国や地域のリーダーの決め方となると方法は限られる。民主主義のルールが根づいた国や地域では、腕力が物を言うことは普通はない。金力に物を言わせようとする人は現代でも普通にいるが、それはまた別の話になる

 4年に一度、米国をうらやましく思う人が日本にも少なからずいる。昨年がその年だった。大統領選挙だ。予備選から本選まで1年以上に及ぶ。人物と政策が国民の厳しい目にさらされ続け、合格点をもらった人だけがリーダーになれる

 うらやましがってばかりもいられない。日本には日本の、欧州など多くの国々と同様の首相選出法がある。ただし国民に対して開かれたものにしていく工夫が欠かせない。先に工夫し始めたのは自民党だったように思う

 たとえば昨年の総裁選は北海道から鹿児島まで各地で街頭演説会を行った。麻生氏の勝ちは決まっていたようなものだが、5人の候補者による10日余の全国行脚は、首相選びに直結する総裁選を国民の側に少し近づけた

 きょうは民主党の代表選が行われる。小沢氏の辞任表明から5日後の短期決戦になった。自民党と違って国会議員だけの投票で決める。次期首相を選ぶことになるかもしれない選挙なのに、これでよかったのか。誰かさんの腕力がちらつく

 春秋 西日本新聞 2009年5月16日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

なんでやねん「お天道さんは見てござる」ひどい、みっともない、せこい・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 書店に行くと、著者に国会議員の名がある本が棚をいくつも占める時代になった。歴代の首相経験者から首相を目指す人まで、昨今の政治の風景を雄弁かつ多彩に語ってあきさせない

 タイトルを拾ってみる。「絶対の決断」「愚直の信念」「日本再生の切り札」…。私は国をこう変える、式のものが多い。「政治家は楽な商売じゃない」という意表を突いたものもあり、タイトルだけでもあきさせない

 ベストセラー本も生む。小沢一郎著「日本改造計画」、安倍晋三著「美しい国へ」は今となっては懐かしい。小沢氏の後継を決める民主党代表選終了後は、鳩山由紀夫氏か岡田克也氏か、どちらかのさしあたっては旧著や近著も書店に並ぶ

 ここからは全く別の人の話になる。その人は3年前に出版した自著で「仁・義・礼・智・信の五徳を取り戻そう」と呼びかけた。日本人の誇りから説き起こして政治に話を広げていく。ご政道をただす、という熱意が伝わってくる

 著者の鴻池祥肇(よしただ)・参院議員はおととい内閣官房副長官を辞任した。新型インフルエンザに対する警戒水準が引き上げられた前後に既婚女性と熱海に宿泊旅行し、国会議員の職務用JR無料パスも使った、と週刊新潮に報じられた。ひどい、みっともない、せこい

 国会議員の著書のタイトルには「なんでやねん」のようなくだけたものもある。鴻池氏が書いた本は「お天道(てんとう)さんは見てござる」だった。

 春秋 西日本新聞 2009年5月15日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

歯舞・色丹・国後・択捉「北方領土」リップサービス・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 そろそろ咲く準備を始めるころだろう。森繁久弥さんが作詞作曲した「知床旅情」に歌われた。〈知床の岬に はまなすの咲くころ…〉

 歌詞には知床から望める国後島も出てくる。話が急に無粋になるが国後島は北方領土の1つだ。歯舞群島、色丹島、択捉島とともに第2次大戦後は旧ソ連時代からロシアが実効支配を続けている

 日本とロシアが領有権を主張し合って60年以上が過ぎた。押したり引いたりの半世紀余でもあった。「4島一括返還」を求める日本側と、「歯舞・色丹の二島で」などとするロシア側を隔てる壁は一貫して厚い

 ことしは「3.5島返還論」が大きく報じられた。歯舞・色丹・国後の3つに、面積が最大の択捉の一部を加えた線でどうかというのだ。言いだしたのは日本政府代表だった、というから話がややこしくなった

 一昨日、東京で麻生首相と会談したプーチン首相は、どんな選択肢も排除しないと強調した。急進展するのだろうか。主要テーマの経済協力問題で実利を得たから「リップサービス含みかも」の声も聞かれる

 「知床旅情」に戻る。〈今宵(こよい)こそ君を抱きしめんと 岩かげに寄ればピリカが笑う〉。ピリカは、アイヌ語で「美しいくちばし」を意味する海鳥エトピリカのことらしい。ロシアの首相が甘い言葉で実利拡大を図る姿を想像するのは想像しすぎか。ともあれ、海鳥たちに笑われる展開にならないよう、ご用心。

 春秋 西日本新聞 2009年5月14日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

総選挙の景色は全然違ってくる「も」「は」は大切・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 数日前につまみ食いで紹介した「ユーモアのレッスン」(外山滋比古著、中公新書)には次のような話も載っている。授業参観でのこと-

 教室には児童が思い思いの言葉を書いた習字の作品が張り出されていた。ある母親はわが子の作品を見て感激した。「ははたいせつ」と書いてあった。家でたいそうほめてやると、キョトンとしている。その子は「歯は大切」のつもりだった

 民主党の小沢代表辞任について昨日の小欄で〈総選挙は「このままで細碁も」の声が出始めていた〉と書いた。「このままでは」でないとなんのことか分からない。訂正します。「は」は大切、というお粗末の一席

 民主党の話を続ける。代表の任期途中辞任は珍しくない。それどころか「鳩山→菅→岡田→前原→小沢」で5人連続という。旧自由党との合併をめぐる混乱や偽メール事件の引責などいろいろあった

 小沢氏が代表だったこの3年間の、一方の自民党のほうにも目は向く。首相は小泉氏から「安倍→福田」を経て麻生氏になった。前回総選挙で大勝した小泉氏の後の人は総選挙を経験していない

 意欲満々の麻生氏に対しては、党内の一部に「麻生おろし」の声が依然くすぶるが、はてさて。党首の途中辞任が続く民主党と違い「自民党は」2代続いた悪い流れを断てるか。それともひょっとして「自民党も」となるのか。「は」か「も」か、で総選挙の景色は全然違ってくる。

 春秋 西日本新聞 2009年5月13日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

二代続けて腰砕けと潔白を主張する固執「大局観」支持率は下がり続け・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 囲碁は白石と黒石で地を囲い合い、その合計が多いほうの勝ちとなる。古来、武将たちもたしなんだ。戦国模様になぞらえれば「知的な陣取り合戦」といっていい

 平成20年以降の政界では、囲碁が大好きな小沢一郎氏を大将とする最大野党民主党が、一時は広大な模様を張った。与党自民党の大将が安倍、福田と二代続けて腰砕けとなり、つまりは布石を誤ったせいでもあった

 “失着”が伝染したのか。麻生首相に代わった自民党は劣勢を増したように見えたが、西松建設献金事件が秘書に飛び火した小沢氏が打つ手を誤った。潔白を主張するあまり党首に固執しすぎた。大局観を欠いた

 小沢氏の碁は「大局観がよくて独創的」と評される。政界陣取り合戦でも、自著のタイトルにもある「剛腕維新」を目指し、大局観に立って独創的な強手を繰り出してきた。献金事件の対応で疑問手が出た

 おかしな手を打ったのに「筋がいい」とお偉いさんをヨイショする世間一般同様の光景が、民主党内でも見られたのだろう。党最高顧問の渡部恒三氏が「ゴマスリばかり」とぼやく一幕もあった。世論調査で民主党の支持率は下がり続け…

 きのう小沢氏は代表辞任を表明した。総選挙は「このままでは細碁も」の声が出始めていた。民主党内には本音部分では安どの空気が、自民党にはがっかりの空気が、とも報じられる妙な構図の中、ここから本当の陣取り合戦が始まる。

 春秋 西日本新聞 2009年5月12日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

「歴史の細部」記憶を薄れさせないための取り組み・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 史実に基づく米映画「シンドラーのリスト」が劇場公開されて15年になる。実業家オスカー・シンドラーがナチス・ドイツから救ったユダヤ人のリストの複製が、ドイツで一般公開され始めた

 ナチスにより強制収容所に連行された人々の情報を収集中の組織が企画した。アンネ・フランクが携行していた通行証の複製なども併せて展示されている。20世紀の欧州における最悪の記憶が生々しくよみがえる

 記憶を薄れさせないための取り組みが種々なされてきた。その輪には世界各国の指導者の名もあった。来月はオバマ米大統領が加わる。「強制収容所跡を訪問する」と大統領報道官が先日発表した

 記憶を消そうとする政治家もいる。ナチスが大量虐殺を行ったガス室を「第2次大戦の歴史の細部」と言う人が、ドイツの隣国にいる。フランスの極右政党・国民戦線のルペン党首だ

 ユダヤ人虐殺に関する同様の発言は一度や二度ではない。ことし3月には欧州連合(EU)欧州議会の議場で繰り返した。この人、欧州議会議員でもある。来月が改選期だ。80歳のルペン党首は最年長議員になることが確実

 規則に従えば、最年長議員が7月には議長席に就く。そうはさせじ、とこのほど規則改正案が採択され、改選前の議長か副議長が新議長になる(朝日新聞)。オバマ米大統領の強制収容所跡訪問に続き欧州議会議長による極右発言を聞く不快は避けられた。

 春秋 西日本新聞 2009年5月11日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

インフルエンザの予防「流行性感冒予防心得」は昔も今も変わらない・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 米国のラジオ番組での相談電話-。「うちのママは、毎日、毎日、朝は早くおきなさい、よく手を洗いなさい、よく勉強しなさい、夜は早く寝なさい、とうるさくて、うるさくてしかたがありません。ボク、どうしたらいいでしょうか」

 回答が評判の女性は、こう答えた。「朝は早くおきなさい、よく手を洗いなさい、よく勉強しなさい、夜は早く寝なさい。以上、サヨウナラ」(外山滋比古著「ユーモアのレッスン」中公新書)

 以下はユーモアの枠で触れる話では全然ないが、新型インフルエンザの予防に関するレッスンも、きのう国内初の感染が“水際”で確認され、備えが強化されることでラジオの回答者に似てくる

 「いつも同じ注意ばかり」と、うるさがる子がもしいたら、繰り返し言ってやろう。「人込みは避けなさい」「外ではマスクをしなさい」「外出後はうがいと手洗いを念入りにしなさい」…

 1918-19年に「スペイン風邪」という名の新型インフルエンザが世界中で大流行した際、当時の内務省衛生局は「流行性感冒予防心得」の中で次のようにレッスンした(山本太郎著「新型インフルエンザ」岩波新書)

 「咳(せき)する者には近寄ってはならぬ」「沢山(たくさん)人の集まって居(い)る所に立ち入るな」「電車や汽車などの内では必ず呼吸保護器(ガーゼマスクともいふ)を掛けなさい」「塩水か微温湯にて度々(たびたび)含嗽(うがい)せよ」…。心得は昔も今も変わらない。

 春秋 西日本新聞 2009年5月10日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

独自の仏教文化をはぐくんだ「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」展・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 アジアの奥深い高原で独自の仏教文化をはぐくんだチベットでは、あまたいる仏の中から、自分を守ってくれる仏を選ぶ習慣があるという

 九州国立博物館(福岡県太宰府市)で開催中の「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」展を訪れた人も、おみくじ感覚で選べるようになっている。引いてみると「白傘蓋(びゃくさんがい)仏母(ぶつも)」と書いてあった

 会場内で出合えるその像は、左手に傘蓋の柄、右手に法輪を持って立っていた。傘で災いを防ぎ、法輪で煩悩を打ち砕く。説明書きによると、地上でうごめく魔性、邪悪を両足で踏みつぶしてくれるというから心強い

 古来、かの地を襲った災いや魔性、邪悪が、守り仏たちの出番を増やした。かつて吐(と)蕃(ばん)王朝が一大帝国を成し、現在は中国の一自治区となったチベットの多難の一端を、この半世紀の間に起きた動乱・騒乱に見る

 翻って世界全体を見渡せば、災厄が毎年のように立ち現れる。世界的大流行の一歩手前とされる新型インフルエンザはその代表。マネー至上主義の破綻(はたん)に始まった世界同時不況や、人間の邪悪さに起因する核兵器の恐怖など、挙げたらきりがない

 白傘蓋仏母は実は“千面千手千足”らしい。目を凝らすと確かに相当な数だ。顔や手足を数多く持つ神仏はほかの国にもある。防ぐべき災い、退治すべき邪悪のたぐいが世界中にあふれた昨今、どこの国の神仏たちも手足などはいくつあっても足りそうにない。

 春秋 西日本新聞 2009年5月9日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

絶滅の恐れ「スイゼンジノリ」きれいな水がないと生きられない・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 幹線道路から脇に入って集落を抜けると麦畑が広がっていた。福岡県朝倉市のその辺りは見渡す限りの田園風景だった。聞こえるのは小鳥たちのさえずりと、小さな川の、小さなせせらぎだけ

 昔から同じ風景なのだろう。農作業中の男性に尋ねると「変わったよ」。80歳になるというその人によると、昔はわき水などが豊富であちこちに淡水ノリがたくさん自生した。こそっと採って食べたのも子ども時代の思い出とか

 緑色のゼリー状をしたスイゼンジノリだ。地元では川茸(かわたけ)と呼ぶ。江戸時代から高級食材とされてきた。地元業者の看板には「創業寛政5年」とある。いまも自生している場所は、先述の小さな川・黄金(こがね)川だけになったという

 自生地から校舎(金川小)が見えた。連休中で話は聞けなかったが、本紙のこれまでの記事で、スイゼンジノリが教材になっていることを知った。総合学習で採取を体験したり、水の大切さを勉強したり…

 古くは熊本の水前寺で見られたためその名がついた。太古を知る藍藻(らんそう)類の一種で生息環境が限られる。きれいな水がないと生きられない。環境省は絶滅の恐れが最も高い植物に分類している

 黄金川周辺の水が細ったのは「上流にダムができたせい」の声を聞く。新ダム建設計画が進行中。スイゼンジノリは大丈夫か。ここにきて不協和音が聞かれるようになった。「古里の宝」をないがしろにしたら小学生に笑われる。

 春秋 西日本新聞 2009年5月8日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

「立夏」大型連休中に季節は春から夏への“暦替え”・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 きのうの九州は各地で初夏めいた。光る日差しに誘われ、高速道路の料金値下げにも誘われていつもの休日より遠くの行楽地で楽しんだ家族連れやグループもあったろう

 初夏を思わせる、といえば、夏も近づく…と唱歌に歌う雑節の「八十八夜」は先週末に過ぎ、きのうは二十四節気の「立夏」だった。大型連休中に季節は春から夏への“暦替え”を済ませる

 季節の変わり目に暦をぼんやりと眺めるのもいい。わが家にあるカレンダーの5月は、麦畑の小道を楽しそうに行く子どもたちが出てくる。畑の向こうでは屋根より高くこいのぼりが泳いでいる

 博多のグラフィックデザイナー故西島伊三雄さんの作品を集めたカレンダーだ。スイレンが咲く小さな池のふちや、ススキの穂が揺れる野原などが月替わりで描かれている。子どもたちが出てこない月はない

 出てくる子どもは3人だったり5人だったりする。「1人だけやったら、その子が寂しかろうもん」。そう話していた西島さんは子どもたちの絵をたくさん残した。1人で遊んでいるように見える子でも、よく見ると犬や鳥たちと一緒に遊んでいた

 きのうの「こどもの日」に合わせた国の発表では、日本では子ども(15歳未満)が占める割合は13.4%で過去最低になった。独りぼっちにさせない方法、日本にはたくさん残っている自然の中で動物と一緒に遊ばせる工夫が大人たちの務めになっていく。

春秋 西日本新聞 2009年5月6日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

心優しいロック歌手「忌野清志郎」そんな生き方でいいのか?・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 忌野(いまわの)清(きよ)志(し)郎(ろう)さんが病気で亡くなった。ロック歌手は日本にも数多くいる。「反骨の」の形容がこの人ほど似合った人は少ない。58歳だった

 若者ではなくなってからも派手な衣装と奇抜なメークは変わらなかった。おじさんと呼ばれる世代になってからも社会性の強いメッセージを発してきた。世の中こんなことでいいのか? そんな生き方でいいのか?…と

 発売中止や放送禁止を恐れず過激に風刺するのが忌野さんの一番の「衣装」だった。時々ワルぶるのもその1つだった。まとい続けた毒気を脱いだ際に見せる素顔との落差もよかった。振り返ってそう思う

 別の世界に進んでいたら画家を目指していたかもしれません…。自分ではそんなふうに振り返ることもあった。絵ごころは持ち続けた。50歳を過ぎて「ブーアの森」というタイトルの絵本の原画を手がけている

 少年が木の精から不思議な動物ブーアをプレゼントされる物語だった。環境絵本だ。そのころの忌野さんは、地球環境にいい自転車に夢中になっていた。東京から九州まで自転車旅行をしたほどだ。絵本に合わせた曲もつくって歌った

 その話を小欄で書いたのは7年前の「みどりの日」だった。同じ「みどりの日」にこの原稿を書いている。亡くなった日の夕刻前、ひつぎが自宅を出たとき、雨あがりでもないのに青い空に虹がかかっていたそうだ。虹も似合う心優しいロック歌手だった。

春秋 西日本新聞 2009年5月5日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

人間っていいなあ、と思わせるゆったり感ほのぼの感・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 受け答えが意表をつき、たくまざるおかしさも備わっていてクスッとさせる。そういうことってあるもんだと、みのもんたさんが民放テレビで紹介していた話を聞きながら思ったことがあった

 世界最長寿記録を持っていた泉重千代さん(120歳で1986年死去)が、114歳のときギネスブックに載ることになり、女性記者が質問した。「女性はどういうタイプがお好きですか?」。泉さんは答えた。「やっぱり年上の女かのぉ」

 こういう答えが自然に出てくるところがいい。気持ちがほんわかとなったところで、そういえば、と具志堅用高さん(53)のことを思い出した。この人にも似たようなエピソードがある

 「小さいころ、お母さんからよく言われたことは?」と聞かれ、こう答えたという。「人を殴ってはいけない」。インタビューした人のずっこけようが目に浮かぶ。この話はビートたけしさんが紹介していた

 ボクシングの世界チャンピオンとして無敵だったが、語録などの面白さも敵無し。よく知られたものの1つにこんなのがある。ファストフード店のドライブスルーで。「ご注文は?」「これとあれと、これちょうだい」「名前でお願いします」「具志堅用高っす」

 具志堅さんは沖縄県石垣島の出身だ。泉さんは鹿児島県徳之島の出身だった。人間っていいなあ、と思わせるゆったり感ほのぼの感は、南の島の大きな景色と関係があるのだろう。

春秋 西日本新聞 2009年5月4日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 日本国憲法前文の一部。〈われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する〉

 口語訳があってもいい。こんなふうに。「私たちは、世界中のすべての人々が、恐怖や貧しさのために悩まされることなく、平和に生きる権利があると確信しています」(「絵本日本国憲法前文」中央アート出版社)

 この絵本に携わった坂井泉さんが5年前に九条の「全国お郷(くに)ことば」編を出版した時は小欄でも紹介した。ほかにも憲法前文の古里言葉編を募っている人がいることを毎日新聞で知った

 高知県の農業、山本明(あ)紀(き)さん(40)。インターネット上のブログ(日記風サイト)をのぞいてみた。まずは山本さんの“翻訳”から。「世界中どこの国の人も、怖がったりひもじかったりいう難儀をせんずつ平和に生きる権利があるがやと思うちょります」

 憲法が親しいものに変わっていったという。ネットで同志を募ると30府県から寄せられた。秋田県の40代男性は「おらだは、全世界の国民が、おなじぐこえぐなぐ貧乏でなぐなり、平和に生ぎる権利があるど思うなだ」

 九州からも寄せられた。失礼を承知で、つなぎ合わせて採録する。「世界中のだいでんかんでんが」(佐賀の人)「えずかぁとか、ひもじかぁとか言わんで」(福岡の30代男性)「平和に生きて行っ権利を確認しもんそ」(鹿児島の50代女性)

春秋 西日本新聞 2009年5月3日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

政権交代のたびに「政治的報復」大統領退任後に繰り返される・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 韓国政界の第三勢力が「サッカー党」を旗揚げし、W杯日韓共催大会で韓国を4位に躍進させたヒディンク監督に、国籍を変えて大統領選に出馬するよう要請したが、断られた…

 ジョークである。オランダ人監督に韓国民はこう言わせる。「退任後に投獄されたり死刑を宣告されたり、息子を逮捕されたりしたくないのでね」(名越健郎著「ジョークで読む国際政治」新潮新書)

 拒否理由の部分はジョークではない。そうなった大統領経験者が何人もいる。種々の罪名で全斗煥(チョンドファン)氏は死刑判決を、盧(ノ)泰(テ)愚(ウ)氏は実刑判決を受けた(のちに2人とも特赦)。金(キム)泳(ヨン)三(サム)氏と金(キム)大中(デジュン)氏は家族が逮捕されている

 同じ列に前大統領の盧(ノ)武鉉(ムヒョン)氏も加わろうとしている。家族の不正資金疑惑に絡んで捜査当局の事情聴取を受けた。ヒディンク氏に倣えばよかった、と今ごろ後悔しているかも

 それにしても政権交代のたびに国民にとっても不幸な光景が繰り返される。「政治的報復」の見方も交じる激しい政争はいつまで続くのか。次のようなジョークもあったそうだ。内外政策に頭を痛める大統領と、見かねて「願いをかなえてやろう」と言う神との会話-

 「どうか北朝鮮を話の分かる国に」「それは無理だ。別のにしてくれ」「では、韓国の与野党対立を解消してください」「北朝鮮のほうをやってみよう」。与野党対立を解消できる大統領が現れたら、北朝鮮問題の解決もわけない?

春秋 西日本新聞 2009年5月2日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

一獲千金「スラムドッグ$ミリオネア」インドという国のエネルギー・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 昨秋「インドで同時テロ!」を伝えるニュースが「発生地はムンバイ」を告げたとき、そんな名の都市がどこにあるのかすぐには分からなかった

 1990年代半ばまではボンベイと呼ばれていた。インド最大の商業都市だ。現地の表音に基づいて名称変更された。同様にカルカッタはコルカタになっている。ムンバイの人口は約1800万人(共同通信社「世界年鑑」)でこれもインド最大

 中国の次に人口が多いインドは、今世紀半ばには経済力でも中国とともに世界の中心国の1つになる、と予測される。予測を支える上海など中国の巨大都市の表情は日本人にも身近になった。インドの巨大都市についてはどうか

 ムンバイの表情を伝える映像は上海などに比べるとはるかに少ない。高層ビルが林立するムンバイの遠景は、未来都市が約束されていることを物語る。レンズを望遠にするとビル群の陰にスラム街が広がっている

 巨大な商業都市が巨大な人口と巨大な貧困の中で生み出すエネルギーはすさまじい。実感させる英国映画が日本でも公開中。「スラムドッグ$ミリオネア」。ことしの米アカデミー賞で作品賞など8部門を制した

 スラムで育った青年の成功物語。ビジネスとは別世界での成功物語だ。一獲千金の伏線となる生い立ちをカメラは追う。カメラと一緒に観客はムンバイの路地から路地へと駆け抜ける。インドという国のエネルギーを体験できる。

春秋 西日本新聞 2009年5月1日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

昭和の日「あの日にかえりたい」を口ずさむ人がいる・・・春秋(nishi) 八葉蓮華

 長崎県・五島列島の奈留島の奈留高校には校歌とは別に愛唱歌「瞳を閉じて」がある。〈風がやんだら沖まで船を出そう 手紙を入れたガラスびんを持って…〉。五島高校の分校だった1974年にできた

 女子生徒がラジオの深夜放送に手紙でお願いし、荒井由実さんが作詞作曲した。14年後、同窓生がお金を出し合って歌碑を建てた。姓が松任谷になっていたユーミンも除幕式に出席した。翌年、年号は平成に替わった

 ユーミンは先月、長野県内の中学校を訪ねている。75年作「卒業写真」を卒業式で歌った3年生と交流してきた。その様子を先日NHKが奈留高歌碑除幕式の時の映像と一緒に紹介していた

 「瞳を閉じて」の歌詞にはカタカナ語が1つしか出てこない。「卒業写真」には1つもない。初期は外国語をあまり使わなかった、との調査結果を、国立国語研究所の伊藤雅光さんは一昨年発表した

 ユーミンの全三百数十曲を調べていた。歌詞に占める外国語の割合は70年代は約4%だったのが、平成に入った90年代には約14%に増える。2000年以降について伊藤さんは「日本語回帰の傾向」を指摘していた

 今55歳。最新アルバム「そしてもう一度夢見るだろう」には日本語だけの曲が複数ある。初期に通じる曲も。聴いたあとで「あの日にかえりたい」を口ずさむ人がいるかもしれない。「昭和の日」のきのう、そんな思いも巡らせた。

春秋 西日本新聞 2009年4月30日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

 ホーム 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。