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権力は腐敗する。人の世はさまざまな法則に支配されている・・・春秋 八葉蓮華

 賄賂(わいろ)の歴史は古い。8世紀初めの大宝律令に賄賂罪の規定がある。時代を下って20世紀には、贈収賄事件の急増を背景に「飲まセル、食わセル、握らセル…」など「五セル」の流行語を生んだ

 地方公共団体も例外ではない。近年だけで見ても毎年30件前後の収賄が発覚している(総務省調べ)。一昨日は福岡県の前副知事が収賄容疑で、福岡県町村会長(添田町長)が贈賄容疑で逮捕された

 後期高齢者医療制度の運用をめぐって「副知事が県町村会に便宜」「見返りに現金100万円」の疑いが持たれている。2人とも大筋で認めているという。「握らセル」のほかにも県町村会側からは「セル」があった、と報じられた

 人の世はさまざまな法則に支配されている。次のようなのもある。「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」。19世紀の英国の歴史学者にして思想家・政治家でもあったアクトン卿の言葉

 中島孝之・前副知事は昨年暮れまでの10年間その職にあった。知事の「懐刀」と呼ばれてきた。山本文男・県町村会長は1992年からその職にあった。99年からは全国町村会長も兼任。添田町長としては現在10期目を数える

 汚職事件が絶えないこの国では、「おまえもワルよの―」と言いながら商人から賄賂を受け取る悪代官が最後は断罪される時代劇などで国民はうっぷんを晴らす。今回のような「官官贈収賄」を裁く編も加えてもらいたい。

春秋 西日本新聞 2010年2月4日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

太巻きを丸かぶり「立春」 1年の始まりも立春から・・・春秋 八葉蓮華

 〈梅一輪一りんほどのあたゝかさ〉。松尾芭蕉の門人・服部嵐雪の句が寒風のなかに暖を一輪咲かす季節になった。あすは二十四節気の最初に来る「立春」

 1年の始まりも立春から、と旧暦では考えられていた。茶摘みの季節の八十八夜も台風がよく来る二百十日も、立春から数えてのこと。暮らしのなかで生き続けるあれこれを、教え継ぐパイプは時代とともに細っていく

 立春に新春気分を味わい直す人もいる。2010年の滑り出しがここまでうまくいっていなくても、リセットは可能だ。そう思えば、一輪ほどのあたたかさ、の味わい方もまた違ったものになる

 立春前日のきょうは季節を分ける節分。立春を1年の始まりとするなら節分はさしずめ大みそか。年を送って迎える雰囲気の行事などが昔からあった。鬼を追い払って福を呼ぶ豆まきもそのひとつ、と物の本にはある

 調べついでに書き足せば、節分の恵方巻きの「恵方」は縁起の良い方角を言う。年ごとに異なる恵方を向いて太巻きを丸かぶりしながら願い事をする。そうする人が、政治と経済がさえないご時世だから今年もたぶん多い

 恵方巻きはともかく、恵方は古来、その年の福徳をつかさどる神がいる方角を指した。大勢の人の願い事を聞く歳(とし)徳(とく)神(じん)をおもんばかったわけではなかろうが、江戸期の小林一茶の句−。〈足の向く村が我らの恵方かな〉。こういうリセットの仕方があってもいい。

春秋 西日本新聞 2010年2月3日
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世界一大きなタイヤ「情熱の足あと」久留米の玄関口を飾る・・・春秋 八葉蓮華

 会社は誰のものか。株主のものとする声がひところ、いびつに幅を利かせた。「社会のものだ」と言ってその通りにやってみせた人が、かつていた

 まれな人を生んだ福岡県久留米市のJR久留米駅前に、「直径4メートルの世界一大きなタイヤ」が来年春に飾られる。九州新幹線の全線開通に合わせて、久留米の玄関口を飾るにふさわしい象徴的なモノを、と市が要請した

 世界の三大タイヤメーカー・ブリヂストンの創業者石橋正二郎氏(1889―1976)が故郷に残したモノはさまざまだ。美術館や日本庭園などがある石橋文化センター、久留米大学創設時の用地と建物…

 そんな遺産も含め、生誕120年にあたった昨年、手前みそながら本紙の久留米総局は正二郎氏の足跡をたどり直した。故郷に向けられた熱い思いと行動力を、「情熱の足あと」というタイトルでこのほど本にまとめた

 久留米市内の子どもたちから数千もの作文や絵が寄せられたことがあったそうだ。筑後川で寄生虫が見つかって水泳ができなくなったとき、ブリヂストンが小中学校21校にプールを贈ったことに対するお礼だった

 「ゆめにまでみたプールのかんせい。わたしはとびあがってよろこびました」などと書かれていた。絵には笑顔で泳いだりシャワーを浴びたりする子が描かれていた。数千枚をとじた約20冊の冊子を、正二郎氏は自宅書斎の棚に並べて終生宝物として扱ったという。

春秋 西日本新聞 2010年2月2日
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“卒業”思い出の横綱2人によって縁取られる、めぐり合わせ・・・春秋 八葉蓮華

 日本相撲協会の横綱審議委員会(横審)で女性初の委員として鋭い意見を述べ続けた内館牧子さんが、5期10年を務め終えた。思い出に残る横綱として「貴乃花と朝青龍」を挙げていた

 貴乃花はけがで休場が続き、復活優勝を決めた時に土俵上で見せた鬼の形相などは今も語り草。朝青龍については「アスリートとしては150%認めるが、横綱としては断固認めない」と話していた

 内館さんの“卒業”が、思い出の横綱2人によって縁取られることになったのは、めぐり合わせというものか。朝青龍の「泥酔したうえでの暴行」問題と、貴乃花親方の「協会理事選立候補」だ

 暴行事件は先月の場所中の未明に起きた。横綱側は「相手は個人マネジャーで、けがもしていない」と説明していた。相手は実は一般の知人男性で、しかも鼻の骨を折る重傷と分かった。報道によると警察は横綱から事情を聴くことも検討中

 朝青龍は土俵上の振る舞いで物議をかもしてきた。大目に見る空気もあった。土俵外での暴行となると「そうはいかない」と横審の委員長は話している。横審としての意見を近く協会に伝えるという

 協会理事の顔触れは、一騒動あった貴乃花親方の立候補に伴い、きょう8年ぶりに投票で決まる。朝青龍問題への対応が新理事会の最初の仕事となる。思い出の2人が自身の退任時にこんな絡み方をするとは、脚本家内館さんの脚本にもなかったろう。

春秋 西日本新聞 2010年2月1日
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新しい空気は若者を引き寄せ、元気な地域に変えた・・・春秋 八葉蓮華

 ブドウ畑と風車があったモンマルトルが、近代的風景の先頭に躍り出たのは19世紀の末に近い後半のことだった。丘から見るパリの中心部にエッフェル塔が加わったころのことでもある

 丘のすそに次々に出現したナイトクラブやカフェ、サーカス劇場などがモンマルトルをパリで最も元気な地域に変えた。新しい空気は若者を引き寄せる。吸い寄せられた人のなかには若い画家たちもいた

 ゴッホ、ゴーギャンらと並んでロートレックの名もある。同じ時代を呼吸し、交遊を通してジャポニスム(浮世絵などの日本美術愛好)の影響も共有した。やがてパリを離れたゴッホは南フランスで、ゴーギャンはタヒチで自分の世界を探し…

 ロートレックはフランスの都で36歳の生涯を完結させた。都会の風俗と哀歓をリトグラフ(石版画)などに切り取った。一言でいえば「売れっ子のポスター作家」。街角に張るポスターを芸術にまで高めた

 「ムーラン・ルージュ」に代表されるナイトクラブなどのポスターが多い。踊り子や歌手らが登場する。小説家の注文で作った新作宣伝ポスターもある。英国企業のパリ支店開設や、国際ポスター展開催を知らせるポスターも

 小倉城から近い北九州市立美術館分館で「ロートレック・コネクション パリを彩った画家たち」展が開かれている(2月7日まで、会期中無休)。1世紀以上前のパリの街角に立ったような気分になれる。


春秋 西日本新聞 2010年1月31日
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